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令和7年2月定例議会において、今後の市政運営に臨む所信と令和7年度における市政運営方針を申し述べる機会をいただき、深く感謝申し上げます。
この場では、私の4年間の任期において、市のありたい姿や市政運営における基本的な姿勢について、述べさせていただきます。
市民の皆さまの温かく力強い信任を賜り、7年1月20日付で、第6代四條畷市長に就任いたしました。市長としての重責を担う立場となり、身の引き締まる思いとともに、大きな使命感を抱いております。
市民の皆さまからお寄せいただきました信頼と期待に応えるべく、責任と覚悟を持って全身全霊を尽くし、職責を全うする決意です。
私は、本市の職員として、企画、広報、財政と市の中枢でまちづくりに携わり、財政構造の健全化を進めるなか、「未来への投資」に向けた各種取組みの一端を担ってきました。その最中、前市長が退任することを表明し、その後継者を全国公募するというニュースを耳にしたとき、「自分たちのまちを自分たちの手でよくしていこう、そうした思いを持った人を増やしていきたい。そんな思いでこのような取組みを始めたのではないか。」と思うに至り、他人任せになっている場合ではないと考え、挑戦の一歩を自ら踏み出すべきだと決意し、生まれ育った四條畷市をさらに魅力ある市にするため、市長選に挑むことを決断いたしました。
私は市長として、まだまだ足りない部分もありますが、今後も市民や職員との対話を大切にし、さらには議会の議員の皆さまと本市の発展という共通認識のもと、議論を通じて、多くの皆さまの知恵と力をお借りしながら、市政を前に進めてまいります。
「みんなで描こう なわての未来」
この言葉には2つの思いを込めています。
1つは「継承」です。
本市が市民とともに築いてきた「対話によるまちづくり」をこれからも継承しながら、「市民中心のまちづくり」を進め、市民主体の取組みを行政が支えることで、市民一人ひとりが主役として活躍できるまちづくりをめざします。
もう1つは「発展」です。
「ともに未来を描く」という思いを致しながら、地域の課題や希望を共有しつつ、ともに具体的な未来像を描くことをめざします。
そして、本市が、日本一前向きな市として発展していく未来を描き、市民一人ひとりが希望を持てるまちを実現してまいります。
これらを実現するため、私は市長として、これまでの理念をしっかりと継承しつつ発展へとつなげてまいります。
多様な市民の「挑戦」する心、ひいては未来を担う子どもたちの夢や情熱を応援するとともに、「安全、安心」に希望を持って暮らせる四條畷市を実現してまいります。
この考えのもとで、皆さまのご理解、ご支援、ご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
まず、多様な市民の「挑戦を応援」するために、私は3つの政策目標を掲げます。
1つめの目標は、「いくつになっても活動したくなる“なわて”」です。
スポーツやレクリエーションなどを通じた健康寿命の延伸、生涯学習活動を促進する環境の整備に取り組んでまいります。地域コミュニティの活動を行政として支えることで、先輩世代の方々が身近に集える居場所づくりを充実させ、元気で長生きできる環境を整えてまいります。
2つめの目標は、「働く世代が元気あふれる“なわて”」です。
市内事業者の皆さまから、「事業を続けたいが人手が足りない。」といった声も伺いました。このような状況を改善すべく、担いて不足の解消や将来のまちづくりを担う人材が起業しやすい環境の整備を通じて、働く現役世代を力強く応援する取組みを実行してまいります。
3つめの目標は、「子どもが夢や目標を持てる“なわて”」です。
教育委員会と連携を図りながら、部活動や習い事への支援制度の創設に取り組んでまいります。さらに、教育現場の働き方改革にも取り組み、学校の先生が児童、生徒と向き合える時間を創出し、子どもたちが本来生まれながらにして持ち合わせている「興味、関心」を養うことで将来世代の「学びへの意欲」を伸ばしていきます。
同時に、子育て支援の基本理念である「子どもたち一人ひとりの個性を尊重し、可能性をはぐくむまちづくり」のさらなる推進に向けた取組みを進めてまいります。
このように「未来への投資」に向けた各種取組みを将来世代に先送りすることなく着実に実行し、市民の皆さまが希望を持てるまちを築くためには、安定した財源の確保が不可欠です。本市の財政状況を見据えると、今後も増大する社会保障関連経費や公共施設の再編に伴う建設事業費などが財政運営に影響を与えることになります。だからこそ、ふるさと納税の拡充を主要な軸とし、新たな財源の確保に全力を注ぎます。
地域の魅力を全国へ発信し、本市を応援したいと思っていただける仕組みづくりを進めることで、持続可能な財政基盤を構築し、必要な施策を力強く前に進めてまいります。
次に、すべての住民が「安全と安心」に暮らせるまちづくりに向けても、3つの政策目標を掲げます。
1つめの目標は、「人とまちと自然がつながる“なわて”」です。
生活や通学で通る道路の安全を確保するとともに、駅周辺と緑豊かな公園の整備を進めます。
本市の最大の課題の1つは、道路の狭さです。かつての厳しい財政状況から道路の老朽化も進んでいます。これらを改善するため、幹線道路の拡幅や生活道路、通学路の安全対策を集中的に取り組んでまいります。また、本市唯一の駅であるJR忍ケ丘駅を賑わいが創出される起点として、本市の玄関口にふさわしくなるよう整備を進めてまいります。
そして、私たちが暮らす四條畷市には、長い歴史の中で受け継がれてきた文化や遺産があります。国指定史跡の飯盛城跡も本市の誇るべき貴重な財産です。こうした歴史や文化を守り、後世に引き継いでいくことも、まちづくりの重要な使命であり、着実に取組みを進めてまいります。
2つめの目標は、「いのちと生活を守る“なわて”」です。
避難所の機能強化や支えあい体制の構築、移動課題の解消や物価高騰への支援にも注力してまいります。とりわけ、移動課題の解消に向けては、民間事業者とも協力し、福祉の観点を取り入れた移動支援を地域の皆さまとともに構築してまいります。また、物価高騰対策としては、国からの臨時交付金も活用し、「なわてみんなで頑張ろう商品券」の第5弾に向けた補正予算化を行い、物価高騰から市民の皆さまの生活を守ってまいります。
3つめの目標は、「子育て世帯が笑顔で過ごせる“なわて”」です。
妊娠期からの切れめない支援及び相談体制の強化に努めてまいります。特に、市民に寄り添った支援につなげることを趣旨とした「こども家庭センター」機能の構築をめざし、支援機関の連携を強化してまいります。また、保育施設において、保育士不足により希望する子どもを受け入れられない状況を改善すべく、保育士の大幅な処遇改善を進めるなど、待機児童の解消に取り組んでまいります。
加えて、小学校のふれあい教室については、7年度より民間委託を開始し、待機児童の解消につなげてまいります。
さらに、「安全」と「安心」の施策を着実に進めることで、防災・減災対策の強化、生活道路や通学路の安全確保、移動支援の充実など、すべての世代が安心して生活できる環境を整えてまいります。
財源確保と施策の推進を両輪とし、市民一人ひとりが誇りを持ち、安心して暮らせる本市の未来を、市民の皆さまとともに描き、実現してまいります。そして、親・子・孫の三世代が希望を持って暮らせるまちへと発展させてまいります。
「挑戦を応援」、「安全と安心」
この2つの柱と合わせ、まちづくりとして重要な課題である「公共施設の再編」と「田原地域の活性化」も着実に進めてまいります。
これまで長年にわたり議論されてきた公共施設の再編について、6年末に公共施設等の個別施設計画を改訂しました。とりわけ、旧耐震施設の早期解消と建設資材や人件費の高騰による負担増を避けるためにも、今後はこの計画に基づき、早期に整備を進めていきます。
また、田原地域の活性化についても、近年、様々な進展が見られます。
地域のボランティアの皆さまの協力を通じて、自動運転が実装され、また、下田原地区での「ほ場整備」も地域の皆さまの理解により、いよいよ工事着手も視野に入ってまいりました。さらに、平成2年のまちびらきから30年以上がたち、遊休地の活用も含めたまちの在り方を改めて考える時期に至っています。
これらの田原地域の活性化への取組みをさらに加速させてまいります。
これまで述べた市のめざす姿や目標を成し遂げるには、市民、職員をはじめ、多くの方々の理解と協力が必要であり、その根幹として信頼関係の構築が不可欠であると考えております。そのためには、私たちが行政としての役割を果たしながらも、常に市民とともに歩む姿勢を持つことが大切です。
そして何より、市民を代表する市議会の議員の皆さまとは、議会の場を通じて、様々な議論を行うとともに、施策についてのご提案をいただければ幸いです。もちろん、いただいたご提案をすべてかなえることは難しいかもしれませんが、市政を推進する車の両輪として、真摯な姿勢で建設的な議論を通じて、信頼関係を築いてまいりたいと考えております。
また、本市の職員の皆さんは、とても頼もしい存在だと感じております。私自身職員であったことから、多くの職員は、真面目で、勤勉、そして優しい方々であると理解しております。さらに、人事戦略基本方針に掲げる職員としてのあるべき姿、「挑戦」、「共感」、「連携」をもとに、さらなる力を発揮いただけるものと確信しております。
そのために何が必要か、どのような職場環境が求められるのか、対話を通じて私も模索していきたいと考えております。
加えて、市政を運営していくうえでは、国、府、他市との対話も不可欠です。
国や大阪府に対し支援を要望するだけでなく、現場で何が問題なのかを伝えていくことが重要であり、北河内各市との連携も欠かすことができません。
このように、国、府、他市との対話を通じた信頼関係を築いてまいります。
最後に、企業との対話も忘れてはなりません。
これからの自治体経営にあたっては、行政だけではなく、専門的な知識と経験、ICT技術を活用した公民連携による事業推進、企業版ふるさと納税の活用など、今以上に企業と連携することを常に考えていかねばなりません。
市内の事業者の方々はもとより、市外も含めた様々な分野の企業と緊密に連携を図りながら、市政にご理解をいただくことにより、本市の発展にご協力いただけるよう努めてまいります。
以上、今後の市政運営に臨む所信を述べさせていただきました。
私は、本市の未来を切り拓くために、市長としての責務を全うする覚悟です。
本日ここに述べた施策の一つ一つは、単なる計画ではなく、市民の皆さまの生活に直結するものであり、地域の未来を形作る礎となるものです。その実現のために、私はあらゆる困難に立ち向かい、皆さまと共に課題を乗り越え、市政の前進に努めてまいります。
市民の皆さまと対話を重ね、信頼を築きながら、誠実に市政運営を進めていくことで、市民一人ひとりが主役となるまちづくりを推進し、「四條畷市に住んでよかった。」と心から思っていただけるようなまちを実現することが、私の使命です。
そのためにも、私は挑戦を恐れず、変革を厭わず、様々な関係者とすべての市民の力を結集していくことで、新たな未来を切り拓いていく決意を新たにしております。
「みんなで描こう なわての未来」という理念のもと、全身全霊をもって市政運営に取り組むことを、ここにお誓い申し上げます。
本市のさらなる発展のために決して歩みを止めることなく、邁進してまいります。
議員各位並びに市民の皆さまにおかれましては、何卒ご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げます。
続きまして、令和7年度における市政運営方針について、まずは重要施策から、所信表明の項目順に沿って申し述べます。
まず、1つ目の柱である「挑戦と応援」
その1つめの目標である「いくつになっても活動したくなる“なわて”」から申し上げます。
様々な世代の方が日々の生活をいきいきと健康的に過ごしていけることが重要です。
まず、健康寿命延伸については、市民一人ひとりが健康に対し関心を持ち、行動することが重要と考え、40歳以上の市民を対象に健康アプリを用いた「なわて健康プログラム」を開始します。
健康プログラムでは、1日の歩数や健康イベントへの参加、健康診断の受診ならびに個人の健康づくり活動に対してポイントを付与し、貯めたポイントは抽選で特典を獲得することができるなど、健康プログラムにおける様々なコンテンツを通じて個人の健康づくり活動の推進に寄与するとともに、市民の健康寿命の延伸につなげてまいります。
次に、個別施設計画に基づく旧南中学校敷地の整備については、多世代が集い、コミュニティの輪を広げ、魅力、活力、賑わいに満ちた空間とするため、施設や公園、周辺環境の整備に留まらず、運営や施策、事業にもその目的に沿うよう、庁内関係課での議論を始めてまいります。
2つめの目標である「働く世代が元気あふれる“なわて”」について。
意欲ある事業者や創業希望者を支援する「なわて事業者チャレンジ支援制度」については、7年5月末をもって現行制度の補助期限を迎えます。本制度は、利活用に関する種々のご意見を賜りながら、改善を重ねることで、市内事業者支援の要となる施策として定着してまいりました。
7年度においては、まずは、本制度をより効果的な支援につなげるための一層の改善を検討したうえで、速やかに予算措置に向けて必要な手続きを進めることとし、日々懸命な経営努力をされている事業者や創業希望者への支援を切れめなく実施してまいります。
次に、6年度よりスタートした「大人の学び直し支援事業」は、市民の皆さまから高い関心をお寄せいただき、また、学習費用の負担軽減を目的としたキャリアアップ補助金についても、多くのお申し込みをいただいております。
こうしたことから、7年度はさらなる予算の拡充を行うとともに、学習を終えた皆さまへのフォローアップや学習後の現状調査、また、学習者同士が情報交換できる場を設けるなど、さらなる環境の充実を図ってまいります。
3つめの目標である「子どもが夢や目標を持てる“なわて”」について。
教育大綱の基本理念である「個性をみんなで活かすまち」の実現に向けて、様々な施策に取り組みます。
まず、本市の教育に対する普遍的な理念と方針を定める教育大綱が7年度をもって計画期間を終了します。次期大綱は、行政施策と連携した文化、スポーツ活動の充実等、生涯学習分野を盛り込む内容で考えており、教育委員会で見直しを行う教育振興基本計画とも整合しながら、それぞれの権限と責任を十分に認識のうえ、策定してまいります。
また、国が示したGIGAスクール構想を契機に、1人1台端末を導入したことにより、子どもたちは日常的に学習者用タブレット端末を使えるようになりました。これらの経験を活かしつつ、第2期GIGAスクール構想の進展に向け、教員の研修を充実させるとともに、より機能的な端末への更新に向け準備を進めてまいります。
さらに、教員の働き方改革の一環として、6年度から取り組んでいる教頭マネジメント支援員を配置した学校のほか、他の学校には教員業務支援員を1人ずつ配置し、授業や行事の準備補助等の業務を中心に担い、教員が児童生徒への指導や教材研究等に注力できる環境をすべての学校において整備してまいります。
教育振興基本計画の基本理念のなかに、未来を拓く人材育成には、夢や可能性に挑戦しながら、協働し、学び続けることができる環境づくりが必要との思いが込められています。環境に左右されることなく、子どもたちの挑戦する心を大切にし、未来への可能性をはぐくむことができるように、既存の就学援助制度を拡充し、部活動で必要になる用具や消耗品等の購入費用を支援します。
次に、2つ目の柱である「安全と安心」
その1つめの目標である「人とまちと自然がつながる“なわて”」について。
市民が安心して暮らせるためには、様々な都市基盤が整っていることが重要です。
そこでまず、人口減少や高齢化の進展など、社会経済情勢の大きな変化に対応しつつ、「なわて」の強みを活かした「未来」に向け、都市経営の観点から立地適正化計画で示す「コンパクト・プラス・ネットワーク」の考えに立ち、都市の効率化や持続的な公共交通ネットワーク等をめざし、都市計画に関する基本的な方針として、平成29年3月に策定した都市計画マスタープランの改訂を令和7年度から進めてまいります。
また、第二京阪道路と大阪外環状線の結節点に隣接する砂地区のまちづくりについて、これまで、地域主体の「まちづくり協議会」において活動を行ってきましたが、土地利用に大きな影響を与える地区内の交野支援学校四條畷校の本校化決定を受けて、まちづくりの方向性を再検討されていくことから、事業化までの支援をはじめ、市域全域を俯瞰するなか、幹線道路のインパクトを活かしたまちづくりを促進してまいります。
さらに、JR忍ケ丘駅前については、供用開始から30年以上が経過し、老朽化が進んでいる状況です。本市唯一の玄関口として、また、多くの市民が集い、活動することができるスペースとして整備していくことをめざし、まずは、庁内で課題整理を行い、実施に向けた検討を進めてまいります。
2つめの目標である「いのちと生活を守る“なわて”」について。
いのちと生活を守るためにはハード面だけでなく、施策面での充実も欠かせません。
元年度より「地域生活困窮丸ごと支援会議」を設置し、各部署の垣根を越え、関係者及び関係機関が一丸となった支援を進めてまいりました。その後も引き続き、庁内外の様々な関係機関で検討を重ね、7年度より、相談者の様々な状況に対応し、つながり続けることができる重層的支援体制による支援を始めてまいります。
次に、モータリゼーションの進展や人口減少などにより、地域公共交通の利用者が減少する一方、免許返納後の移動手段の確保等により公共交通の重要性が高まっています。
地域や世代に応じた交通手段の確立に向けて、都市計画マスタープランの改訂とも連携しながら、様々な交通手段の調査・研究を進めてまいります。
また、6年度補正予算となりますが、エネルギーや食料品等の物価高騰により影響を受ける市民の皆さまの生活を支援し、市内事業者の経済を下支えすべく、国からの重点支援地方交付金を活用して、低所得世帯へ給付金を支給するほか、市民の皆さまへ「なわてみんなで頑張ろう商品券」を配布いたします。
3つめの目標である「子育て世帯が笑顔で過ごせる“なわて”」について。
子どもたちの健全な育ちを支え、子育て世帯を応援していく仕組みづくりも充実させます。
近年、保育施設の待機児童の解消が喫緊の課題となっています。多くの保育施設では、子どもを受け入れたくても保育士が足りず、受け入れられないなど、保育士の確保に苦慮されている状況です。
これまで、本市では、保育士への市独自の支援を行うとともに、地域区分についても、国への要望を重ねた結果、6年度からは10%に見直されたところです。
このように、様々な対策を実施してきたものの、保育士の確保は未だ厳しい状況にあるため、市独自の支援を抜本的に見直し、緊急対策として、勤務年数に関わらず、保育士に月4万円、このうち、月1万円は各保育施設に負担していただき、年間最大48万円の処遇改善を新たに実施し、保育施設と協働で、待機児童解消に向けて力を尽くしてまいります。
また、併せて保育の基盤整備として、民間の認定こども園の8年度新設に向けて、必要な助言、支援を実施してまいります。
加えて、従前より、ネウボラなわて、子ども家庭総合支援拠点をはじめ、各機関が連携し、支援が必要な家庭の早期発見、必要な支援を実施してまいりました。
今後、これまでの取組みをさらに強化する「こども家庭センター」機能の9年度の構築をめざし、子育てに困難を抱える家庭をより切れめなく、漏れなく支援していく体制づくりを進めてまいります。
7年度は、母子保健・児童福祉の両機能の連携・協働をさらに深め、一体的な支援を実施するための方法についての具体的な検討を進めてまいります。
次に、まちづくりの重要課題として、まず、「公共施設の再編」について。
まず、6年度に改訂を行った公共施設等の個別施設計画との整合を趣旨に、インフラ系施設も含めた公共施設等総合管理計画を早期に見直します。
また、旧南中学校敷地、市民総合センター・保健センター敷地及び市庁舎敷地の3つのプロジェクトについては、従前からの過程を踏まえ、市民の皆さまの意向を適宜伺いながら、それぞれ基本計画や基本設計、実施設計にあたっていくなど、年次スケジュールに即した取組みを着実に進めてまいります。
併せて、学校施設整備における基本的な考え方や基本理念等を示した学校施設整備方針を6年末に改訂しました。今後は、子どもたちの、より安全で魅力的な教育環境実現のため、具体に検討を進めるにあたり、該当校の地質調査や建物の耐力度調査などを実施するとともに、整備に向けた様々な事務を補完するいわゆるコンストラクション・マネジメントによる手法を採用するなど、学校施設の着実かつ効果的な整備につなげてまいります。
次に、「田原地域の活性化」について。
平成29年から地域の方々と対話を重ねてきた「市民中心のまちづくり」は、着実な歩みを進めている最中にあります。
自動運転車は、田原の地域内移動を目的とし、地域ボランティア「たわらコネクトカート」の協力を得て令和6年5月からレベル2の自動運転走行を開始しました。
7年度では、関係省庁と連携し、レベル4の自動運転走行をめざした実証実験を重ねてまいります。
また、策定中の公共空地等の活用基本計画をもとに、関係機関及び地域との対話を重ねてまいります。さらに、遊休地等の有効活用の声を受け開始した「たわらマルシェ」は地域と連携し開催してまいります。
さらに、下田原地域で実施しているほ場整備事業については、大阪府が6年4月から着手しており、7年度については、換地に係る地域の合意形成を図るとともに、詳細設計や文化財の試掘調査を実施のうえ、稲作終了後を目途に工事着手する予定です。
加えて、市の支援のもと、地元農業法人が、府内では非常に珍しい小麦栽培の拡大に向けた挑戦や子どもたちへの麦踏み体験の機会の提供を続けています。
本市の営農環境の向上を図るべく、引き続き、地元農業者や大阪府等の関係機関と密に連携し、ほ場整備事業を契機とした、魅力ある農業・農空間を育み、次世代に継承するこれらの取組みを積極的に支援してまいります。
7年度の予算は、長引く物価高騰の影響をはじめ、人件費の増加や市債借入金利の上昇、公共施設の老朽化など取り巻く環境は厳しいものの、基金残高や市債残高の改善など、これまでの行財政改革によって得られた効果をもとに、中期財政計画に掲げる基本方針を遵守しつつ、6年度に引き続き、未来への投資を積極的に行う予算としております。
各会計の予算額といたしましては、一般会計で263億8,242万6千円、国民健康保険特別会計で53億7,272万5千円、介護保険特別会計で54億4,688万1千円、後期高齢者医療特別会計で11億3,009万8千円、土地取得特別会計で4,495万6千円、下水道事業会計で32億8,031万4千円、各会計の総額では、416億5,740万円となっております。
次に、7年度予算における主要な施策を、総合戦略に掲げる基本目標ごとに申し上げます。
まず、「基本目標1 ひとづくり」について。
子どもを取り巻く社会情勢の大きな変化に対応すべく、教員としての資質能力を高められるよう、6年度は接遇やコーディネート力の向上に向けた研修を新たに取り入れました。7年度はこれらに加え、教員のデジタルスキルを高める研修、児童生徒の主体性を支援する生徒指導力を高める研修を充実させてまいります。
さらに、中学校の英語の授業において、大阪府が開発した英語学習アプリを導入します。このアプリには、AIによる音声自動採点、発音した英文の音読、英語でやり取りした音声の精度や流暢さを判定する機能があり、家庭での学習の場などにも活用でき、英語力の向上につながるものと期待しております。
また、スポーツフェスティバルについては、各種スポーツ団体や大阪電気通信大学等との連携のもと、子どもから高齢者まで幅広い年代を対象に、多種多様なスポーツ体験や健康測定など、一日を通じてスポーツに親しむイベントとして実施してきました。7年度については、プロスポーツ選手を招聘し、実技指導や貴重な体験談からスポーツの楽しさや厳しさを知るとともに、子どもの夢や希望につながるようさらなる充実をめざしてまいります。
さらに、放課後子ども教室は、各小学校児童の放課後の居場所づくりとしてふれあい教室とは別に、様々な特技や技術を持つ地域の皆さまの協力により実施している事業であり、児童は伝承、伝統文化やニュースポーツなど様々なメニューに参加できます。7年度は、参加児童の増加に対応するため、実施回数やメニューを拡大してまいります。
次に、人権分野においては、市民一人ひとりがそれぞれの個性に基づいて自分らしさを輝かせ、互いを尊重し合う人権文化豊かな社会の構築に向けたみちしるべとして、昨年から改訂に向けた丁寧な取組みを進めてきた人権行政基本方針が、7年度当初に成案化を迎えます。
これに続き、男女共同参画社会を推進、展開していくための総合的な計画である男女共同参画推進計画、いわゆるあじさいプランが7年度で計画期間満了を迎えることから、その改訂に向けた取組みに着手し、社会の様々な場面での女性の活躍を促進し、活気や賑わいのあるまちづくりにつなげてまいります。
また、子どもの人権を守る観点から、いじめは絶対許されないという強い姿勢に立ち、いじめの未然防止から早期発見、早期対応に取り組んでおります。現在、いじめ防止基本方針の見直しを進めており、多様なケースに応じた調査体制の構築に努めてまいります。
「基本目標2 まちづくり」について。
本市の貴重な歴史資産である飯盛城跡については、3年に国史跡に指定され、4年度から5年度に保存・活用を進める指針となる保存活用計画を、そして6年度に具体的な整備の方向性を示す整備基本計画を策定してまいりました。7年度はこれらの計画に基づき、今後の基礎資料となる石垣の測量調査を実施するなど、史跡を適切な状態で将来へ継承してまいります。
次に、一般国道旧170号の拡幅について、6年度は、対象となる物件の補償費等の価格提示及び買収契約に着手しました。7年度も引き続き、物件の補償費等の価格提示及び買収契約を行います。今後においても、大阪府との連携はもとより、地権者及び沿道住民のご協力をいただきながら、丁寧に進めてまいります。
加えて、防災面の対策も欠かせません。南海トラフ巨大地震の今後30年以内の発生確率が80%程度に引き上げられ、市民の防災意識が高まりつつあります。こうした状況を踏まえ、旧耐震基準で建築された木造住宅の耐震改修工事に係る補助限度額を引き上げることで、住宅所有者の経済負担を軽減させ、既存住宅の耐震性を向上させることにより、市民の生命・財産を守り、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
さらに、通学路の安全対策として、これまでも防犯カメラを設置してまいりましたが、6年度に、教育委員会において新たな基準を策定しました。今後、学校や関係機関との連携を一層深め、引き続き子どもたちの通学時の安全確保に努めてまいります。
また、児童生徒の学校生活における水分補給は、各家庭で子どもに応じた飲料を準備し、持参することを原則としておりますが、昨今の猛暑等の気象状況に鑑み、子どもの安全・安心を最優先に、校内に給水機を設置し、さらなる熱中症の予防に努めてまいります。
「基本目標3 しくみづくり」について。
子育て世帯に安心して出産していただくことを支援する観点から、不妊症治療については、体外受精などの基本治療が、4年度から保険適用となった一方で、不育症治療については、未だ保険適用外の検査や治療が数多く残されており、不育症に悩む方々の経済的負担の軽減を図るため、保険適用外となる検査や治療に要した金額の一部を助成します。
次に、窓口対応において、加齢などにより耳が聞こえにくい方や、日常生活での聞こえに不安を感じている方との円滑なコミュニケーションを図るために、耳の軟骨を振動させて音声を伝える集音器を福祉部局の窓口へ設置するとともに、庁内窓口への貸出しを行い、来庁者へのサービス向上に努めてまいります。
また、平成27年度より本人の都合による離職ではなく、生活に困窮し住居を喪失、またはそのおそれがある方に対し、就職に向けた活動などを条件に一定期間家賃相当額を支給しておりました。法改正により、家計改善を目的に家賃が低廉である住宅への転居費用についても対象となるよう事業を拡充いたします。
さらに、本市の地理的な条件から大きな公園整備が困難な地域の子どもたちが、自由にボール遊びのできる場所を確保するため、放課後に小学校の校庭を開放します。令和6年度は岡部小学校及びPTAの皆さまによる校庭開放イベントや、放課後子ども教室として自由遊びを校庭で行うなど試行実施し、参加した多くの児童たちからは大変好評を得ております。これらを踏まえ7年度は、実施回数を増やすなどさらに拡充してまいります。
加えて、学校施設の貸出し事業について、現在、市内3か所で実施している鍵の受渡しにかわり、各学校にスマートロック機能の付いたキーボックスを設置することにより、受渡しに係る移動の負担を軽減するなど、利用者の利便性を向上させてまいります。
また、オンライン申請や証明書のコンビニ交付の利用実態を踏まえ、働き方改革の実現と質の高い市民サービスの提供を趣旨に、窓口等受付時間の短縮を行います。
これにより、適切な労務管理を実現するとともに、短縮で得た時間を職員間の申し合わせや新たな事業の検討等に充て、市民の利便性とサービス品質のさらなる向上をめざし、7年度半ばでの実施に向け準備を進めてまいります。
本市では、昭和45年7月1日の市制施行を経て、令和7年度に55周年を迎えます。2年度に50周年の大きな区切りを終えて、時代の経過とともに周年事業のあり方にも変化が求められますが、先人の功績を見つめ直し、たたえる機会は、まちへの誇りや愛着心につながるとの考えのもと、記念式典に代え、市制施行55周年記念表彰式を実施いたします。
また、4月13日に開幕する大阪・関西万博。大阪を訪れる多くのお客様に向けて、本市では大阪府が府内43市町村と連携する催事イベント「大阪ウィーク」に出展いたします。
具体的には、9月13日から15日に開催される秋イベントで、歴史遺産のレプリカを展示するほか、PR大使の谷口智則さんに100体めのサンタクロースを現地でライブペインティングしていただき、本市の魅力を発信してまいります。
以上、7年度における市政の運営方針と予算についてその概要を申し上げました。
これまでの行財政改革や子育て世代人口の社会増などの良い流れを途切れさせることなく、引き続き未来への投資を行い、その未来を担う子どもたちの夢や目標を叶えることができるまちにしていきたいという思いで臨みました。
市議会の議員の皆さまとは、四條畷を良くしたいという思いを共有するなかで、信頼関係をさらに強固にしていけるよう努めてまいりますので、引き続きのご理解とご協力を何卒よろしくお願い申し上げまして、私の所信表明及び令和7年度における市政運営方針といたします。