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市長:
お忙しいなか、地域と市長の対話会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
地域と市長の対話会は、平成29年度から毎年1回、多い時で2回実施させていただいております。コロナ禍に開催を見送ったこともありましたが、今年で第7回となりました。第6回までに合計128回開催し、延べ2,600人以上の方にご参加いただいております。
行政だけでは気づけていない点、また、至らない点が様々あろうと思います。そのような点をご指摘いただいたり、ご意見をいただきながら、市政を良くしていきたいという思いで開催させていただいております。そのため、私からの話は20分程度にとどめ、皆さまからご意見をいただく時間をなるべく多くとり、対話形式にさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は、私からお話させていただきたいことが3点あります。市全体の話になり、多くの方に関係する大事なお話ですので、お伝えさせていただきます。
はじめに、本市の人口のことです。ニュースなどでご覧になられた方もいらっしゃるかと思いますが、一か月ほど前に「消滅可能性自治体」というのが報道され、話題になりました。なぜ話題になったかと言いますと、国のある機関が5年ごとに各自治体の人口の将来予測を発表しており、人口が著しく減ることが推定される自治体をそのように呼んでいます。
この四條畷市も「企業のまち」というよりは、どちらかと言うと「住宅都市」のため、人口動態はこれからも住みやすいまちであることは非常に重要です。そのため、本日はまず、人口のお話からさせていただきたいと思います。
今回発表されたものはいつまでの予測かというと、2050年の未来予想です。5年前にも調査がありました。現在の四條畷市の人口は約5.5万人ですが、5年前の予測では将来人口は何人ぐらいと予測されていたと思いますか。5年前の推計では、約3.7万人、今より約1.8万人は減っていくだろうという予測でした。これは相当厳しい数字で、市の3分の1が消滅してしまうことになります。
一方、昨年12月に発表された予測結果では、2050年時点において約4.1万人となりました。現在と比較すると約1.4万人の減少となりますが、5年前より減少幅が小さくなってきました。地域によって状況は異なりますが、市域全体としては転入される方が増え、減り方が緩やかになっています。特に、30代の子育て世帯が増加しており、それに伴い0歳から3歳児が増えています。
しかしながら、減少幅は抑えられたものの、市としては依然、厳しい状況と認識しています。これは国の統計による数字ですが、どの自治体もこれぐらいの人口規模を維持したいという人口ビジョンを独自で作っています。本市の人口ビジョンでは、2050年時点において、住宅都市として約4.5万人を維持していきたいという目標を掲げています。また、人口だけではなく、人口バランスも目標として持っていますが、細かい話になってしまうため、数としてのお話をさせていただきます。5年前の約3.7万人の予測から、約4.1万人になり、改善している状況ではあるものの、市が思い描く人口より少ない状況です。
消滅可能性自治体には含まれていないものの、国の統計と市の持つ人口ビジョンの差分を埋める対策が必要であり、本市では、令和5年度から9年度の5年間を「未来への投資期間」と位置付けました。
これまで財政が厳しい時期があり、予算を抑える、削るという時期が20~30年間続いてきました。これまで財政状況が厳しくてできなかったこと、また、積極的に取り組めなかったことについて、この5年間で集中的に取り組むという位置付けであり、住み続けたい、あるいは選んでもらえる市にするべく様々な施策に注力していこうとしているところです。今後、積極的に暮らしやすくなるような施策に取り組み、市の目標とする人口動態に近づけていきたいと考えております。ただ、このような積極的な取組みには、どんな施策をするにもお金というものが非常に重要であり、一定程度の財政の安定が重要です。
財政の話は複雑で分かりにくいので、分かりやすい指標として基金(貯金)の話をさせていただきます。その前に、財政が良くなってきたことを理解するために、そもそもなぜ財政状況の厳しい時期があったのかを押さえておくと理解しやすいと思います。過去、財政状況が厳しい時期があったのは、四條畷市だけではなく他の自治体も同じです。なぜそのようなことが全国で起きたのかというと、高度経済成長期に大幅に人口が増えたため、道路や下水道、公共施設など急速に生活インフラを整える必要がありました。ただ、整備をするにしても、手元に資金がないため借金をしなくてはなりません。当時は、人口が増えるであろうという予測のなか整備をしていましたが、ある時から人口が増えなくなり、バブルの崩壊等もあり、借金が残って財政が苦しくなりました。
そこから20年以上をかけて行財政改革に取り組んできました。職員の数を抑える、給与を抑える、様々な取組みをやめるなどということを長らく続けてまいりました。このような行財政改革を20年も続けると収支構造が改善し、財政状況も上向いてきます。しかし、インフラ整備をした高度経済成長期から40年、50年が経過すると、公共施設や道路が老朽化し、再び整備をしなくてはならない時期を迎えます。しかし、以前と同じように借金をして整備すると、次の世代に莫大な借金を引き継ぐことになります。昔は人口が増えていたため見通しは明るかったですが、今後は人口が減っていくため、借金を重ねて公共施設や道路を整備すると支払いができなくなり大変困ってしまいます。
そこで、市として何をしているかと言うと、大掛かりな借金をしないように、通常の貯金をしつつ、公共施設用の基金というものを積み立てています。直近10年でたくさん積み立てており、現在の残高は29億円程度になっています。もちろんそれとは別に、普通の貯金も20億円程度積み立てています。どの程度のものか想像しづらいと思いますので、北河内で比較してみると分かりやすいと思います。人口あたりの基金を考えると、この公共施設のための基金を最も多く積み立てているのが四條畷市という状況です。根本的な収支構造が改善しているため、近年は貯蓄できる額が増え、堅実に積み上げることができています。
しかし、貯金しているだけでは活力のないまちになってしまうので、同時に魅力あるまちづくりをしなくてはなりません。様々な分野で新たな施策を進めるには非常に多くのお金が必要となるため、財政状況が苦しい中でも基金を積み立てながら子育て世帯への投資を積極的に進めてきました。今後も子育て支援を重点分野に置くことに変わりはありませんが、以前と比べて財政状況が良くなってきているため、多くの世代に投資していこうと考えています。また、市政の各分野で、これまで積極的にできなかったことに取り組むことで、活力あるまちづくりを進めたいと考えております。
例えば、子育て、福祉、教育、住環境など市の施策は様々ございますが、すべてご説明するにはお時間が足りなくなってしまいます。資料にも掲載させていただいているものもございますので、特にご関心のある分野があれば後ほどご質問いただければと思います。
そのようななか、本日は皆さまに謝らなければならないことがあります。現在、公共施設の建築から40年から50年が経過しており、老朽化対策として西部地域の公共施設再編に取り組んでいます。それに際し、昨年4月に公共施設再編の方向性を取りまとめたところでした。その大きな方針としては、公共施設を分散して配置するとコストがかかるため、集約することで建設コストや管理コストを抑え、未来への負担を減らすという考え方です。具体には、現在あるすべての公共施設をそのまま残すことは将来の財政負担を考えると非常に厳しく、また次世代に引き継ぐことになるため8つの機能を市民総合センターの場所に集約させる方針です。
ただし、現在の2施設(市民総合センター・保健センター)でもイベントなどを開催する際に駐車場が満車になることがあり、市民総合センターと保健センターの場所に、そもそも8つの施設が入るのかということや、道路の混雑は大丈夫かという様々な課題があります。それらのことも含め、令和6年度に予備調査を進めていこうと取り組んでいるところでした。広報誌にも掲載させていただいたのですが、その矢先の今年4月に用地面積の計算誤りが発覚しました。これは行政として申し開きもできないものです。
市民総合センターの横に保健センターが併設されていますが、先に総合センターを建て、その敷地内に保健センターを建てています。総合センター用地の一部を使って保健センターを建てたため、面積の計算をするときは総合センターから保健センターの面積を除かなければなりません。しかし、保健センターの面積をそのまま足していたので、面積が二重計上されており、実際は把握している面積より2000平米ほど小さいことがわかりました。この状況で市として10年近く取り組んでおり、この間気づくことができなかったことは市民の皆さまに対して申し訳ないと思っております。また、計画が決まり、進めていく段階において、こうした面積の把握誤りはあってはならないことであり、皆さまのご意見を伺いながら方針を定めたにも関わらず、このようなことになり、大変申し訳なく思っております。
ただ、改めて検討するなかで、8施設を1カ所に集約することについては、もし面積相違がなかったとしても5、6階建ての駐車場も十分に確保できないような大きな施設になってしまい、現実的には難しいということがわかりました。ある程度施設の機能を分散化していく必要があり、計画を見直す必要があるという状況です。ついてはもう一度、公共施設のあり方を再検討しなくてはならないと考えており、現在はどのようなものにできるかの案を取りまとめているところです。この件については市全体に関わることのため、広報誌をはじめ対話会の場など皆さまに説明する場で適宜説明させていただきながら、前に進めさせていただきたいと思います。
また、本市域にとって重要な拠点である南中学校跡地については、ワークショップ等を進めながら、避難所機能や地域コミュニティ機能を備えたものを整備してまいります。皆さまのご意見を聞かせていただきながら、よいものにしていきたいので、積極的にご参加いただき、ご意見をいただきたいと思います。
最後にお伝えさせていただきたいことは、下水道設備のことです。公共施設は目に見えるもので傷みがわかりやすいものですが、市が所管しているもののうち、目に見えないものとして下水道設備があります。
下水道設備は大きく雨水と汚水の2種類に分けられます。まず、雨水について、近年は大雨が増えているなか、浸水被害は減少しているように感じますが、それは大雨の際に側溝から地下にある大きな管をつくって水を流すことで浸水しないようにしているためです。そして、雨水については全市的に関係するもののため、一般会計という皆さまの税金を使って整備をしています。
一方で、汚水は法律上、別の特別な財布で会計しており、皆さまからいただいた下水道使用料を使って日々の運営や汚水管を整備するという仕組みです。本市の下水道管整備の特徴は、整備率を急速に伸ばし、他市に先んじて整備率99%を達成したことが挙げられます。実は、まだ大阪府内でも下水道整備率が6割程度のところもございます。この下水道整備は都市化するということであり、それ自体は良いことなのですが、整備にあたり多額の借金をしています。また、先ほど申し上げましたとおり、急激に下水道設備を整備したため、多額の借金を抱えており、未だに当時の借金を100億円以上抱えている状況で、いただいた下水道料金もほとんどが借金を返すことに使われています。
下水管は地中に入っており通常は見えないため関心が薄くなりがちなもので、道路が陥没するなどの大きな事故がないと分かりにくいですが、果たして行政としてそれでよいのかという問題があります。下水道設備も整備をしてから数十年経過しているため、老朽化対策を今後していかなくてはならないですが、地中にあるので検査をするにもお金がかかります。
実は、本市の下水道料金は北河内の中でも低い水準で、最後に料金を変えてから約18年間料金が変わっていません。ご存じのとおり人件費や材料費が高騰しているため、維持管理や補修に係る費用は高騰しています。今の料金のままでも事業が運営できないわけではないですが、このままでは借金を返し続けるだけで年数が経ってしまうという状況で、古い管の更新や耐震化が進みません。
ただ、物価高等が市民生活に大きな影響を及ぼしていることもあり、下水道料金は生活に直結することでもあるため、ただちに公共料金を上げるという話ではなく、皆さまの安全安心を考え、この時期には耐震化や老朽化対策として改修工事をしなくてはならないという計画を立てたうえで、未来の方針を決めていきたいと考えております。料金を据え置いて少しずつ整備することも可能ですが、歩みとしてはかなり時間がかかりますので、安全面を考えると事故が起きる前に老朽化対応する方が良いということが現在の私の考えです。また、能登の震災等もありましたが、今後、大地震が発生した際に下水道設備が劣化しており破損してしまうという状況では申し訳も立ちませんので、そのようなことも踏まえ、料金を見つめていく時期になっています。
そのため今年度は、専門家や公募市民に入っていただく審議会を立ち上げ、公共料金の金額や、市の安全安心をどう確保するかの方針を決めていく段階にあります。様々なご意見があると思いますが、まちの数十年先の話になるので、皆さまからご意見いただいて決めていきたいと思っています。
多くの方に関係する話なので、このような状況にあることを皆さまに知っておいていただきたいと思い、お話させていただきました。
本日もう一つお伝えしたいことは、田原地域のまちづくりについてです。対話会に参加していただいている方の中には、これまでの動きを聞いていただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、田原台自体もまちびらきをして30年ほど経っており、一度田原という地域全体を見直す時期を迎えているのではないかと私としては思います。
行政が持っているものの活用できていない土地、あるいは民間さんがお持ちで活用がうまくいっていない土地など様々ございます。日本全体として高齢化が進んでいくなか、田原地域に住み続けたい、あるいは選んでもらえる魅力あるまちづくり、より暮らしやすいまちづくりを考えたときに、今一度未利用地の可能性を踏まえてまちづくりをする段階にあるかと思います。
ご存じのとおり、もともと田原という地域は上田原・下田原が古くからあり、当時の中心地としてグリーンホール田原や交番もそちらにあるという状況です。その後、田原台ができて商業地が中央部にあるのですが、もう一度田原という単位で見つめなおして、どの場所に何があると暮らしていきやすいのか、どのように考えて整理していくのかを今年度から進めていきたいと思っております。
今の段階でどうこうするということではなく、まちづくりは巨大な資金が必要になるうえ、人によって大きく意見が異なるものです。そのため、ワークショップを開催し様々な世代の方からご意見をいただいているところであり、昨年度は田原中学校の生徒さんにも参加をいただきながら大きな方向性として構想を取りまとめました。まちづくりは行政だけではなく、民間さんのお力やそこに住んでおられる皆さまと、一緒になって取り組んでいくもののため、今後も様々なワークショップを開催させていただきたいと考えております。積極的にご参加いただき、ご意見をいただきたいと思います。市の基本的な計画を立てていこうとしているのが令和6年度の取組みです。
その中で要となるのは地域をつなぐ移動手段です。コミュニティバスについてはニュース等で取り上げられているとおり運転手不足もあり、私の就任当初よりも運行経費が1.5倍ほどになっています。この運行経費は皆さまの税金から支出されていますので、コミュニティバスで移動をすべて賄うことは非常に厳しくなっています。
このような状況のなか、まちとまちをつなぐ「たわらコネクトカート」について、皆さんのお力を借りながら域内運行を考えつつ、全体のまちづくりの形を考えていくフェーズに来ているのではないかと思います。商業施設があっても人が集まらないと撤退されてしまうので、人が集まる仕組みをつくらなくてはなりません。そして、そこへの移動手段も併せて考えていかなくてはなりません。将来の田原地域を見つめたときに、免許返納等も考えると、移動手段が必要になってきます。田原といっても北から南までは広いため、どこかを集約地点とした場合に、そこまでの移動手段として「たわらコネクトカート」の重要性が増してくるのではないかと思っています。
このような東部地域のまちづくりを昨年からさせていただいているところで、今年度、来年度も引き続きしていきたいと思います。すぐに何かが変わることではありませんが、合意を重ねていって、皆さんと一緒に田原のまちづくりをしていきたいと考えております。
本日はいろんなお考えやご意見等をお聞かせいただけると嬉しいなと思います。
まとめますと、本市の人口の状況としては、以前よりは良い状況になっていますが、市の人口ビジョンには届いていないという状況です。一方で、財政状況は一定改善しているため、未来への投資を進め、今よりも良い状況になるように取組みを進めているところです。
公共施設については基金を積み立てているものの、計画をもう一度見直さなくてはならないという状況です。
最後に、下水道管について、早くから整備をしてきた四條畷市として、この問題に一早く向き合い、未来への安全性をどう確保するかの課題に取り組んでいるというお話でした。
(最後に、田原のまちづくりも少しお時間いただきましたが、このような財政状況も背景に、前に進めていける状況ですので、未利用地の活用については積極的にご意見をお聞かせいただければと思います。)
全体の大きな話になり申し訳ありませんでしたが、この後の質疑応答や意見交換では、地域の課題などについて、皆さまと意見交換をさせていただければと思います。