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なぜ四條畷市は9年ぶりに人口が増えたのか?マーケティング監がわかりやすく分析します(マーケ監ブログ#023)

 皆さん、こんにちは。四條畷市マーケティング監の西垣内渉と申します。

 少し前のことですが、四條畷市広報誌「四條畷LIFE」2019年1月号にこのようなグラフを掲載しました。
人口グラフ
 1月号に掲載するため、当時の最新数値であった11月末の人口をそれまでと比較すると、なんと四條畷市は9年ぶりに前年比増加となっていました!大阪府全体の人口は前年比で減少し、府内市町村で増加していたのは43自治体中11自治体しかなかったことからも、本市は状況が好転しているのではないでしょうか。

 人口が変化する要因は、大きく分けて2つあります。ひとつは出生・死亡による「自然増減」、もうひとつは人の移動に伴う「社会増減」です。人口が増加するには、出生数が死亡数を上回り、市外から本市への転入が、市外への転出より多ければ良いということになります。または、どちらかの要因が強くプラスに働ければ人口が増加するわけです(より専門的な領域ではマルサスモデルなどもありますが、ここでは省略します)。

 本市が9年ぶりに人口増となった要因について、これからマーケティング監が各種データを整理し解説します。

自然増減は6年連続…

 まず本市の自然増減について、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数に関する調査」<外部リンク>に基づいて2001年以降の推移をご覧ください。
自然増減

 こちらをご覧いただくと、この18年間で出生数は減少傾向、死亡数は増加傾向が一貫しており、2010年までは「自然増」となっていたところから2011年に今世紀初めて死亡数が出生数を上回る「自然減」を記録、2013年からは6年連続でこの状況が続いています。「少子高齢化」という言葉が叫ばれて久しいですが、本市でも2018年の出生数は2001年に比べて47%減少しているという事実があります。

社会増減は11年ぶりに!

 つづいて本市の社会増減については、総務省「住民基本台帳人口移動報告」<外部リンク>に基づいた2007年からの推移をご覧ください。
社会増減

 こちらをご覧いただくと、2018年の社会増減は2007年以来11年ぶりに転入数が転出数を上回って「社会増」となったことがわかります!転入数は2011年に2000人を下回り、2014年には1600人台まで減ってしまったものの、2018年に1900人台まで回復し、喜ばしいことにここ2年は本市を選ぶ人が増加傾向にあることがわかります。また転出数についても、ここ3年は減少傾向を記録していて定住傾向が高まっている兆しが見られます。

 なお、転入数・転出数はあわせて4000弱という数字になりますが、これは出生数・死亡数をあわせた数の4倍から5倍という多さです。つまり、人口の増減に寄与する要素としては社会増減のほうが自然増減より影響が大きいということが言えます。その意味では、これを読んでくださる方が率先して本市の魅力を共有していただくことで、より多くの市外で引っ越すことを検討している人の選択肢に入れてもらったり、市民の方にはより長く定住しようと考えてもらうことが本市の持続性にはとても有効ということですね。

 しかし、より多くの方が本市に転入したいと考えてくれても、住むための家がなければ当然実現しません。そこで本市における住宅の供給について考えます。

新築着工数は府内ナンバーワンの○○!

 住宅供給の動向をとらえる指標はさまざまありますが、今回は国土交通省「建築着工統計調査」<外部リンク>を取り上げます。これは建築物の着工状況について建築主別の建築物の数、床面積の合計、工事費予定額などの結果を、全国、都道府県、市区町村の地域で提供しているものです。この調査の中で、新しく住む家を建てるニュアンスに近いと考えられる、「着工建築物・居住専用住宅」の数について本市のここ4年間を示すとこのようになります。
新築着工数

 特筆すべきは、2016年から2017年にかけて本市の住宅着工数が1.5倍以上となった点です。これは大阪府内全市町村の中でなんと最高の増加率でした。直近でこのような大きな供給増が見られ、そこに需要が追いついていることが要因となって、転入数の増加、ひいては社会増・人口増という結果が出たということが言えそうです。

回答者のべ1300人以上!転入転出アンケートの結果からも

 統計数値以外にも、この結果がわかるデータがあったのでご紹介します。四條畷市役所では2017年10月から、本市に転入するもしくは本市から転出する手続きをしている方を対象に、アンケートをお願いしています。その中で転入する、転出する理由をうかがっているのですが、年々増加している項目がありました。
転入者アンケート

 そう、「住宅購入」です。直近の2019年度途中結果では「就職・転職・転業」に次いで2番目に高い割合となりました。先に示した住宅供給量に対して、転入する方の意識からは需要もきちんと対応していることがわかります。もちろん、これは近年には見られなかった要因のひとつで深掘りしたにすぎず、これ以外の要因も人口増につながっている可能性は十分に考えられるので、引き続きリサーチしたいと考えています。

今後はどうなる?

 ここまで読んでいただいた方なら、「じゃあ今年は?」「これからは?」という疑問が思い浮かぶと思います。しかしながら、これまで示した各種の数字は過去を知らせてくれるものであり、そこから単純に予測することは難しいと言えます。ひとつ言えることとすれば、2018年の住宅供給量が前年よりも減少しているため、人口増が持続するには今回お伝えしたトレンド以外の要因も出てくるような努力が必要です。直近の数字を反映したものではありませんが、本市も「人口ビジョン」や「総合戦略」というものを策定し、人口の見通しから取組むべき施策を示していて、それに沿ってさまざまな事業を行っています。特に「総合戦略」ではシティプロモーションも大きな柱と位置付けていることから、このような統計的な情報も含め、いろいろな情報を共有し、本市に住みたい・住み続けたいと思ってくれる人がより多くなればと思います。四條畷市以外でも、各自治体でそれぞれ「人口ビジョン」や「総合戦略」は定められていて、議会でもよく人口の話題は取り上げられていますから、自分の住んでいる自治体はどうだろう?などと調べてみるのも良いかもしれません。
大学コンソーシアム大阪で
写真は2019年に大学コンソーシアム大阪にて講師をさせていただいた時のものです

 今回の記事を書くにあたり、他にもお知らせしたいことがもっと出てきてしまいましたが、今回はこのへんにいたします。反響をいただけたら、ぜひ続編を書きたいと思います。良いニュースをお届けできるよう、リサーチを続けていきます!今回もお読みいただき、ありがとうございました。


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