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令和6年度市政運営方針

令和6年度市政運営方針(全文)

 本2月定例議会において、令和6年度における市政の運営方針を申し上げる機会をいただき、深く感謝申し上げます。
 都心に近い緑豊かな住宅都市、四條畷。生まれ育ったこのまちを、すべての世代が希望を持って暮らせるまちにしたい。この思いを胸に、平成29年1月より約7年間、市政運営に邁進してまいりました。
 長きにわたる行財政改革を経て、財政の健全化を達成したとの判断のもと、削減を主体とした行財政改革プランを終了させたのが令和3年度。4年度には、「未来へつなぐ、持続可能な財政運営の実現」を理念とする中期財政計画へと移行しました。
 そして5年度からは、人口ビジョン(改訂版)に掲げる将来展望をめざし、第2期総合戦略に基づく成長分野への集中的かつ大胆な投資へと舵を切り、歩みを進めています。
 そうしたなか、昨年12月、国立社会保障・人口問題研究所により、日本の地域別将来推計人口が、5年ぶりに発表されました。そこで示された本市の2050年時点での人口推計は、41,138人。平成30年推計時の36,886人と比べると、約4,300人増加しています。
 こうした喜ばしい兆しが見えつつあるのも、市議会議員各位の深いご理解をはじめ、市民皆さまの温かいご協力、職員それぞれの尽力の賜物であり、この場をお借りして、心からお礼を申し上げます。
 この兆しを確固たる流れに変え、成長による好循環を実現することで、先人から引き継いだこの四條畷市をさらに発展させて次世代に引き継ぐべく、6年度においても、総合戦略に掲げる「みんなで未来を育むまち四條畷」の理念もと、各種事業を積極的に展開してまいります。

重要施策

 

1 みんなの学びが叶う環境づくり​

 それでは、重要施策について、総合戦略に掲げる区分ごとに申し上げます。はじめに、基本目標1の「ひとづくり」、「みんなの学びが叶う環境づくり」についてです。
 まず、子どもへの学びの支援として、困り感を抱えている児童生徒への支援体制整備に取り組みます。
 国の「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」では、「学習面又は行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒が8.8%の割合で学級に在籍していることが示されました。これまでも、きめ細やかな指導支援体制を整えるため、各学校に人材を配置してまいりましたが、多様な教育的ニーズに応えるべく、通級指導教室における人員や教材などの支援をより一層充実させてまいります。
 また、小中学校の不登校児童生徒やその保護者に対し、周囲の大人が子どもたちのSOSを受け止め、組織的な対応を行い、学校外部の関係機関等とも積極的に連携して対処するなど、これまでもきめ細やかな対応を心がけてきました。
 そのうえで、市単独の校内教育支援員を新たに配置し、学校には登校できるものの教室に入りにくいなどの不安感がある児童生徒を受け入れる「校内教育支援ルーム」の体制を充実させるほか、学校に登校できない児童生徒を受け入れる「フリールームなわて」の相談員の活動時間を拡充し、子ども、家庭及び学校の支援を柔軟に対応できる体制に整えてまいります。
 次に、5年度より取組みを開始した、意欲ある人が職業能力の向上やスキルの取得に取り組む、「大人の学び直し」について、6年度より本格的な施策展開を行います。
 具体的には、さらなる普及啓発に向けたイベントの開催、学び直しに関する情報の取得や相談ができる仕組みの構築、学び直しの費用に対する補助制度の創設、さらには継続的なフォローアップの実施、これら一連の施策を国や大阪府、様々な教育機関と連携し、全面的に実施してまいります。
 このように学び直しに取り組もうとする、意欲ある市民の後押しを継続的に行うことで、より豊かな暮らしの実現をめざす環境を整えるとともに、「学び直しのまち四條畷」として、本市の魅力を高め、市の成長へとつなげてまいります。

2 住みたい・住み続けたいと思える住環境の整備

 続いて、基本目標2「まちづくり」のうち、「住みたい・住み続けたいと思える住環境の整備」についてです。
 まず、これまで社会課題とのみ認識していた空き家を、新たな資源としてとらえた取組みを実施いたします。
 具体的には、子育て世代等の定住や既存住宅ストックの質的向上による中古住宅の流通を促進すべく、空き家のリフォームに対する補助制度を創設することで、空き家の解消や移住による人口増にもつなげてまいります。
 次に、安全・安心の観点からは、現在も実施している、既存民間木造住宅に対して耐震診断等に要する費用の一部を補助する制度について、これまでの診断、改修に対する補助から、除却する場合も対象となるよう、制度を拡充します。
 これら住宅に対する取組みに加え、道路環境のさらなる充実、良好な住環境の形成、安全なまちづくりの観点から、幅員の狭い生活道路にも着目してまいります。
 具体的には、建築基準法により道路後退が義務付けられる土地を対象に、道路としての寄附を促進するため、測量や分筆など道路後退にかかる費用の一部を補助する制度を実施してまいります。
 良好な住環境の形成には、身近に豊かな自然を感じられる環境整備も欠かせません。
 その第一歩として位置付けた、旧子育て総合支援センター・くすの木園跡地は、地元地区や周辺住民方々のご理解、ご協力のもと、周遊園路や健康遊具、芝生の整備など多世代が親しみをもって利用することができ、防災機能をも兼ね備えた公園へと整備を進めており、名称についても、当該小学校区の5地区に募集を行い、各地区代表者、市職員による採点の結果、「くすの木公園」に決定いたしました。今後は、芝生の定着を考慮し、6年7月の全面開園をめざして、引き続き取り組んでまいります。
 次に、2年1月に策定した公共施設の個別施設計画において、計画策定以降も継続検討していくこととした15施設については、公共施設再編検討会での検討、議決すべき計画に関する特別委員会での調査研究を経て、5年4月に今後の整備方針を計画に位置付けいたしました。今後の公共施設の再編については、この整備方針に基づき、各施設で個別具体の施策を展開してまいります。
 まず、防災機能の確保が喫緊の課題である四條畷南中学校跡地については、5年度において、既存校舎等における仮防災機能の整備を実施し、完成間近です。 
 さらに、6年度においては、防災機能、地域コミュニティ機能を兼ね備えた多機能型体育館の整備、ボール遊びができる公園整備など、跡地の一体的な整備に係る基本計画策定業務に着手してまいります。 
 また、市民総合センター用地及び保健センター用地を一体利用し、市民総合センター、市庁舎、保健センターなど、8つの公共施設機能を集積させた中核的施設を整備することについては、本市の市街地の特性として、建築できる建築物の用途が制限されているため、用途規制の緩和も視野に、住環境の保全と再編整備の両立をめざし、予備調査業務に着手してまいります。

3 産業と地域の活性化によるまちの魅力創出

 次に、「まちづくり」の基本的方向2「産業と地域の活性化によるまちの魅力創出」についてです。
 5年度から、本市独自の事業者支援制度として実施している「なわて事業者チャレンジ支援」制度については、事業を実施する中でいただいた意見を基に、申請状況や実績などを踏まえながら、意欲ある事業者の取組みを効果的に支援することができるよう、受託者である四條畷市商工会との一層の連携を図りながら、制度の周知等を図ってまいります。
 また、下田原地域においては、農地の区画や農業用の道路・水路等の整備を行うほ場整備の事業化に向け、5年度には地域の合意形成のもと22ヘクタールに及ぶ区域において事業計画を定め、国との協議を進めるとともに、併せて6年度の事業着手に必要となる関連法に基づく手続きを行っているところです。
 さらに、本地域では意欲ある農業者により設立された農業法人が中心となり、府内では非常に珍しい小麦栽培に挑戦しています。市の支援のもと、6年1月には市内事業者に対し初収穫の小麦の販売を開始したほか、子どもたちに対し農業体験の機会を提供するなど、魅力ある農業・農空間をはぐくみ次世代に継承する取組みが進んでいます。
引き続き、大阪府をはじめとする関係機関と密に連携を図り、ほ場整備による営農環境の向上を実現し、農業の担い手の体制強化や安定的かつ効率的な農業経営が図られるよう、ハード・ソフトの両面において積極的に支援してまいります。
 田原地域のまちづくりも、大きな一歩を踏み出そうとしています。
 5年度に、田原台の「まちびらき」から30年以上にわたり有効活用されていなかった土地に関して、住民アンケート、住民参画の「未来を考えるまちづくりワークショップ」に加え、民間事業者へのヒアリングを実施し、現在、基本構想としてとりまとめている最中です。
6年度は、この構想をもとに、市民・民間企業・行政が連携のもと、地域資源を活かした魅力ある田原地域のまちづくりに向け、基本計画の策定を行ってまいります。
 そしていよいよ、田原地域内における移動手段の課題解消に向けた低速電気自動車を、実装いたします。この3月に納車後、試験走行を経て、地域のボランティアチーム「たわらコネクトカート」の皆さまのご協力を得ながら、高精度3次元地図の技術を活用した拠点間を結ぶ定時の自動運転車及び地域と拠点を結ぶデマンド交通として、運用を開始します。今後、関係機関と連携しながら、安全・安心はもとより、地域に愛される運行をめざしてまいります。

4 安心して子育てできる環境づくり

 続いて、基本目標3「しくみづくり」のうち、「安心して子育てできる環境づくり」についてです。
 市立忍ケ丘あおぞらこども園は、築50年以上が経過し、老朽化が進展しているため、個別施設計画において、園舎等を早期に建替整備するとしています。
 当園は、旧保育所と旧幼稚園の園舎を活用した認定こども園で、市道を挟んで園舎が2棟に分かれており、保護者の利用面、園児同士の交流面、職員の連携等の運営面等が課題となっています。
 このようなことから、現敷地を基本として、将来的に公立園が1園となることも見据えつつ、本市の保育施設の整備等に求める与条件に加え、保育をしながら建替工事が可能かなどについて検討を行い、園舎を1棟にまとめる建替えに向けて、基本計画を策定してまいります。
 次に、多子世帯の子育てを支援するため、5年度は、小学校就学前の第2子の保育料を所得制限なく無償化いたしました。しかし、国のきょうだいのカウントの考え方に準じたことから、小学生以上の子どもはカウントの対象外となっています。
 そのため、6年度においては、第1子の年齢を問わず、生計を同一にしている子どものうち、最年長の子どもを第1子、その下の子を第2子と、年長順にカウントする制度に改め、第2子の保育料の完全無償化を実施してまいります。
 一方で、きめ細かな子育て施策の充実にも努めてまいります。
 低所得の妊婦の方が経済的負担を理由に、妊娠の診断を受けるための初回産科受診を控えることが無いよう、初回の産科受診料を助成することで経済的負担の軽減を図り、その後の妊婦の状況を継続的に把握し、妊娠期からの必要な支援につなげてまいります。
 多胎児を妊娠した妊婦は、単体妊娠の場合より多くの妊婦健康診査の受診が推奨され、受診に伴う経済的負担が大きくなります。通常14回の妊婦健康診査から追加で受診した健康診査の費用を助成することで、多胎妊婦の経済的負担の軽減を図ってまいります。
 1,000人に1人から2人あるとされている生まれつきの難聴は、新生児期に聴覚検査を行うことで、早期の療育に至る確率が20倍以上、早期療育を行った場合、聴覚を活用してのコミュニケーションが可能となる確率が3倍以上であるとされています。
 このことから、新生児聴覚検査費用の一部助成を実施することで、すべての新生児が聴覚検査を受診し、確実に早期療育につなげるよう支援してまいります。
 さらに、医療的ケア児等やその家族が地域で安心して生活できるよう、必要とする保健、医療、福祉、教育等の多分野にまたがる支援の利用を調整し、総合的かつ包括的な支援の提供につなげるとともに、医療的ケア児等に対する支援のための地域づくりを推進する役割を担う医療的ケア児等コーディネーターを配置してまいります。

5 誰もが健康で暮らせる環境づくり

 次に、「しくみづくり」の基本的方向2「誰もが健康で暮らせる環境づくり」についてです。
 いよいよ、6年度から介護保険事業を単独で開始いたします。医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れめなく提供する「地域包括ケアシステム」をさらに進展させるとともに、健康寿命の延伸に向け、ICTを活用した介護予防にも取り組んでまいります。
 具体的には、高齢者の心身機能の低下からくる生活課題を分析し、その方に適した支援やサービスにつなぐことで効果的に状態改善や重度化防止を図るなど、自立支援、介護予防に資する地域づくりの推進に向け、さらなる介護予防の推進に取り組んでまいります。
 また、介護報酬における地域区分について、くすのき広域連合の解散に伴い、現行の15%から6%へ大幅に移行することは、介護事業者の撤退による介護保険サービスの低下等を招くことも推測されることから、これまでの間、国に対して激変緩和措置を講じていただくよう要望を重ねてまいりました。こうした要望が実を結び、6年度から8年度までの地域区分については、12%の適用が認められたところです。
 これまでお力添えいただいたすべての関係者皆さまに感謝申し上げますとともに、今後も、被保険者の適正な負担と介護事業者の健全経営のバランスを考慮しながら、介護保険事業の円滑な運営に努めてまいります。
 健康寿命の延伸に向けては、受診しやすい検診体制を構築することも重要です。
 現在、大腸がん検診については、市民の健康を促進する観点から、職場等で受診機会のない40歳以上の人を対象に集団検診及び個別医療機関で実施していますが、市が実施するがん検診の内、唯一自宅で検体を採取して受診できる検診であることから、検体の精度を確保できる時期に、集団検診会場や医療機関に出向くことなく受診できる郵送受診を新たに追加し、受診者の利便性向上を図ってまいります。

6 デジタル技術の活用による住民サービスの向上

 最後に、「しくみづくり」の基本的方向3「デジタル技術の活用による住民サービスの向上」についてです。
 5年度より、来庁せずとも市役所サービスを受けることができるように、全庁統一的な電子申請システムを本格稼働させたところです。現時点で、本システムを用いたオンライン申請は94種類利用できる状態となっており、国のぴったりサービス等と併せ、申請全体の約41%がオンライン化するまでに至っています。
 本システムは、各種イベントの申込やアンケート、手数料の支払い等についても活用していることから、一層の利便性向上を図るとともに、8年度末までに、オンライン申請が可能な手続きのオンライン化率を100%とすべく、鋭意取り組んでまいります。
 加えて、全国のコンビニでの証明書交付メニューに、3月から加わる住民税決定証明書に続き、6年度中には戸籍謄本等も加えることで、利便性をさらに高めてまいります。
 次に、来庁された市民へのサービス向上として調査研究を進めてきた、いわゆる「書かない窓口」については、6年度中にシステムを導入してまいります。
 具体的には、行政手続きにおける利用環境を電子化することで、手続き時間の短縮をめざすとともに、タブレット等により質問に答えていけば申請書等ができあがる仕組みの導入に加え、マイナンバーカードをかざすことで申請書を記載することなく証明書を交付できるよう、窓口サービスの改善を実施してまいります。
 行政手続きのみならず、市民からの問い合わせについてもデジタル化を進めています。
 6年1月から、新たな問い合わせサービスとしてコンタクトセンターを稼働いたしました。これは、「対話で築く、市民に信頼されるまち」を理念とする広聴指針に基づいた取組みとなります。
 一方で、市民意識調査において、5年度から新たな質問項目として「市役所は行政機関として信頼できる」を追加したところ、肯定的な回答が47.5%にとどまっていることが判明いたしました。
 この結果を真摯に受け止めつつ、今後、市民の皆さまから寄せられるご質問やその回答を集積し、ホームページ上のAIチャットボットにおけるFAQデータを充実させることで、より分かりやすく迅速な広聴対応を実現するとともに、市民の皆さまからのご要望についてもデータベース化し、施策立案に市民の意見がより反映される仕組みづくりに取り組むことで、いま以上に信頼される行政をめざしてまいります。

予算編成方針

 6年度の予算は、歳入においては市税や地方交付税などが堅調に推移すると見込む一方、歳出においては扶助費や繰出金などが増加するとともに、人件費の上昇や物価高騰による影響が各所に及ぶ内容となりました。
 このようななか、市民の視点に立った予防保全型行政への転換に向け、各種維持管理費を拡充することはもとより、総合戦略に基づく各種事業を推進するなど、未来への投資に向けた取組みを積極的に実施していく予算としております。
 なお、くすのき広域連合解散に伴って一時的に必要となる予算に加え、庁内情報系パソコンの全台入替えや校務用パソコンの全台入替えなど、臨時的かつ大きな費用を要する予算が重なったものの、成長による好循環への歩みを着実に進めるべく、中期財政計画に定める基準内で財政調整基金を繰り入れることといたしました。
 各会計の予算額といたしましては、一般会計で241億5,010万円、国民健康保険特別会計で56億3,583万4千円、介護保険特別会計で102億3,901万3千円、後期高齢者医療特別会計で10億9,582万4千円、土地取得特別会計で4,506万2千円、下水道事業会計で36億1,083万2千円、各会計の総額では、447億7,666万5千円となっております。

【主要施策】


 次に、6年度予算における主要な施策を分野ごとに申し上げます。

分野1 誰もが安心して暮らせるまちへ

 社会経済活動が活発になるなか、エネルギーや食料品等の物価上昇が市民皆さまの生活や事業者の経済活動に大きな影響を及ぼしており、この間、国の経済対策を含め、本市においても影響を受けられる皆さまへの必要な支援等に取り組んでまいりました。
 6年度におきましては、定額減税及び定額減税しきれないと見込まれる方々への調整給付を実施するなど、引き続き支援してまいります。
 また、社会経済状況及び国や大阪府の支援動向を注視しつつ、必要に応じた支援を検討してまいります。
 次に、国民健康保険については、広域化に伴う府内完全統一時期が6年度と決定した後、2年度から5年度の間、激変緩和として、市独自で財政安定化基金を活用した保険料の負担軽減措置を実施してまいりました。
 6年度から、保険料は府内統一基準に移行することになりますが、共同保険者としての役割を担う大阪府と連携し、被保険者の方が安心して医療を受けていただくことができるよう、今後も引き続き、国民健康保険事業の健全な運営確保に向けて注力してまいります。
 困りごとを抱えた方に対し、分野を超えた様々な機関との連携を強化し、多様な地域生活課題を包括的に受け止めることができる重層的支援体制の構築に向けては、市全体の連携が不可欠であることから、まず5年度に、市の部長級から課長代理級、いわゆる管理職にあたる職員への事業説明を実施したところです。
 6年度は、市職員をはじめ地域や福祉関係者に対して本事業の理解を深めるため、学識経験者による講演会を行うとともに支援体制の整備を進め、7年度からの本格実施をめざしてまいります。
 私たちのまわりに存在する様々な人権問題の解決に向け、効果的な人権施策を推進すべく策定している人権行政基本方針について、策定から一定年数が経過したことから、7年度に改定を予定しています。
 そのため6年度に、市民の人権意識や人権侵害についての考え方を把握のうえ、的確に対応するための市民意識調査を実施するとともに、併せて同じく7年度に改定を予定している男女共同参画推進計画に関しても、アンケート調査を実施してまいります。
 高齢者人口の増加に伴い、自力で図書館へ出向くことが困難な方もまた増加傾向にあります。大人への読書推進の一環として、こうした方々に本を届け、生涯を通して読書を楽しんでいただくことにより、生活を豊かに送る一助としていただけるよう、貸出図書の配送事業を実施してまいります。
 長期的な視点のもと、市民の皆さまが安全・安心に暮らしていくには、市民、事業者、行政がそれぞれの立場での役割を果たすことが重要です。この考えのもと、6年3月に、防犯指針を新たに策定する予定です。
 6年度からは、指針に記載した役割分担のもと、ソフト、ハード両面から防犯対策事業の推進に努めてまいります。
 下水道事業については、5年度より経営戦略の改定に向けた検討を進めてまいりましたが、物価高騰などの影響により、想定以上に経営状況の悪化が進む見込みとなりました。
 そのため、今後の収支計画、経営改善に向けた取組みなどについて、6年度も継続して検討することとし、新たに外部有識者も含めた審議会を設置のうえ、将来にわたって健全かつ安定的な事業運営を可能とする経営戦略への改定をめざしてまいります。

分野2 今よりもっと暮らしやすいまちへ

 一般国道旧170号の拡幅については、5年度に、地権者及び沿道住民の方々との交渉に着手いたしました。
 6年度には、いよいよ対象となる物件の補償費等の価格提示及び買収契約に着手します。引き続き、大阪府との連携はもとより、地権者及び沿道住民の皆さまのご協力をいただきながら、丁寧に進めてまいります。
 次に、本市の公共交通は、2年2月に策定した地域公共交通計画に基づき、新たな交通体系の構築に向けて施策の推進に努めてまいりました。
 6年度には、交通業界を取り巻く環境の変化や市民ニーズ等を把握のうえ、本市にとってより最適な計画とすべく、同計画の改定を行ってまいります。
 なお、コミュニティバスの運賃について、この間、適正な受益者負担の観点による料金体系の検討を進めてまいりましたが、5年度に道路運送法が改定されたことで、地域公共交通会議とは別の会議体にて議論を行うことが必要となりました。
 そのため6年度に、新たな会議体の設置のうえで、今後もコミュニティバスが持続可能な交通機関として継続できるように、その方向性を見定めてまいります。
 良好な生活環境を保全し、不幸な命を増やさないために、所有者のいない猫の繁殖を抑制することは有効との観点から、地域で繁殖の抑制を目的とした活動に取り組む団体への支援の一環として、所有者不明猫に対する不妊・去勢手術費への補助制度を、新たに創設してまいります。
 入札事務については、3年度に行われた入札制度等検証委員会の答申を踏まえ、これまで早期に対応すべきものを中心に、業務フローの洗い出し、省力化や効率化のための入札参加資格申請の電子化や、電子契約システム及び電子見積サービスの導入等を行ってまいりました。
 6年度には、事業者と契約事務担当者との接触機会の減少、遠隔地を含めた多様な事業者の参加可能性の確保、入札参加事業者数の増加及び事務効率化による入札参加者や職員の負担軽減等を図るため、入札手続きのデジタル化に着手し、7年度の本格稼働を見据え、電子入札システムの構築及びそれにかかる規定整備等を進めてまいります。
 4年度に実装した四輪の軽自動車に続き、二輪の軽自動車及び小型自動車に係る申告手続きのオンライン化を図ることにより、車両の継続検査手続きにおける納税証明書の提示が原則不要になるなど、市民の負担軽減に寄与する環境を整えるとともに、業務効率化につなげてまいります。
 現在、道路関係や都市計画台帳等の情報を、電子地図の上に重ねて、編集や検索、分析や管理等を行える地理情報システム、いわゆる統合型GISを内部事務において活用しております。
 これら内部事務において活用している情報のうち、各種届出や申請において事前確認を要するものについては、各関係部署のそれぞれの窓口に来庁いただき、主に紙媒体にて閲覧していただいているところですが、今後は公開できる情報をシステムに集約し、広く市民や事業者の皆さまにインターネットから閲覧できる公開型GISを構築して、来庁不要とする行政サービスを実現してまいります。
 これらの取組みのみならず、「なわてDXアクションプラン」に基づく事業をより効率的に進めるためには、デジタル人材の育成は必須であり、組織及び職員個々の状況に応じた研修を行う必要があります。
 そこで、DXに係る知識や技術に関しての職員自身のスキルや適性を把握する、いわゆるDXアセスメントを実施し、その分析結果を踏まえ、より効果的なデジタル人材の育成研修を行うとともに、継続的にDXアセスメントを実施することで、研修の進捗を把握し、市全体としてのデジタル人材の育成を図ってまいります。

分野3 子育て・教育のまちへ

 保育士給与に多大な影響を及ぼしている、子ども・子育て支援新制度における公定価格の地域区分については、近隣市との格差解消に向けて、元年度から国へ根気強く見直しの要望を重ねてまいりました。
 6年度は、これまでの要望活動が実を結び、地域区分が6%から10%に見直される予定です。お力添えいただいた関係者皆さまに感謝申し上げますとともに、引き続き、保育士確保策も実施し、保育人材の確保を図ってまいります。
 また、子ども・子育て支援法に基づき、本市の子ども・子育て支援政策の方針と基本施策を示す、子ども・子育て支援事業計画が6年度でその期間を満了します。
 このため、5年度に実施したニーズ調査等の結果を踏まえ、次期計画を策定し、子ども・子育て支援、教育・保育、ひとり親自立支援等の施策を推進してまいります。
 さらに、民間保育施設における業務のICT化を推進することにより、保育士の業務負担の軽減を図り、保育士が働きやすい環境を整備してまいります。
 具体的には、実費徴収や延長保育等を利用する際の費用徴収について、キャッシュレス決済を導入する場合の費用を補助してまいります。加えて、病児保育事業の予約等のシステム導入に係る費用や、外国にルーツがある保護者とのやりとりなどに係る翻訳機等の購入に係る費用も補助してまいります。
 子どもの安全対策も強化してまいります。
 まず、熱中症対策として、民間保育施設の冷房設備の設置や更新等の改修に要する費用を補助し、保育環境の改善を図るとともに、子どもを安心して育てることができる体制整備を行ってまいります。
 また、保育施設における子どもの性被害防止対策として、パーティション等の設置により子どものプライバシー保護を図るため、公立施設での設置及び民間施設への補助を実施してまいります。
 休日診療業務については、これまで16歳未満の子どもを対象とした急病の応急対応を行うため、保健センターに休日診療所を設置し、日曜日、祝日及び年末年始に小児内科の初期救急診療を実施してきました。
 6年度には、検査、治療及び薬剤処方の充実に加え、小児と保護者の同時受診、救急搬送が必要な際の迅速な対応等、幅広い医療提供体制と初期救急診療の質の向上を図るため、10月を目途に市内2次救急医療機関へ移行してまいります。
 四條畷小学校は、竣工より年数が経過し構造躯体や各種設備の老朽化が進んでいます。今後、老朽化の解消はもとより、学校施設整備方針に示される「子どもと地域の〔学び〕をつなぐ 安全で魅力的な学校施設づくり」を目標に、まずは学校敷地内における断層及び液状化リスクの調査を行い、整備の方向性を検討してまいります。
 次に、水泳学習民間委託事業については、先行実施している学校において、児童や保護者、教職員からの高評価に加え、担任とインストラクターの連携による専門性の高い指導とより安全な水泳授業の実現が確認できたことから、全小学校で本格的に実施し、児童の泳力及び体力の向上に努めてまいります。
 また、学校における教頭業務は、教職員の勤務管理、施設管理、保護者や外部との連絡調整、国等からの調査や統計の回答など多岐にわたり、その多忙な勤務については、全国的にも課題となっております。
 そこで、新たに教頭マネジメント支援員を配置し、教頭先生が教職員と専門スタッフ等の調整や人材育成などの本来業務に注力できる環境を整えることにより、学校組織の機能強化を図ってまいります。6年度において、まずはモデル校1校を定め、効果的な支援体制について研究を深めてまいります。

分野4 魅力と活気に満ちたまちへ

 地域農業は、担い手不足や遊休農地の増加など様々な課題を抱えています。それらの解決に向け、農地の効率的な利用や農地集約化に向けた取組みなど、農業従事者のみならず、地域に住むあらゆる主体が中心となり、地域農業のこれからについての将来方針を定める「地域計画」について、地域の意向を踏まえながら、その策定に取り組んでまいります。
 国史跡飯盛城跡については、魅力発信につなげ、保存・活用を進める指針となる「史跡飯盛城跡保存活用計画」の策定に取り組んでまいりました。
 今後、本計画が文化庁に認定されたのち、文化庁、大阪府及び専門委員会の助言指導を受けながら、具体な整備の方向性を示す「史跡飯盛城跡整備基本計画」を、6年度末を目途に、大東市とともに策定してまいります。
 また、5年度に寄付採納を受けました田原城跡については、適切な管理を進めるとともに、国史跡飯盛城跡と相互に関連した保存活用を図るため、市史跡指定をめざして専門家による指導鑑定を進めてまいります。
 大阪・関西万博については、これまで大阪府と連携し機運醸成に向けた周知活動に取り組んでまいりました。
 7年4月に開幕を控えるなか、大阪府では子ども達に未来社会の革新的な技術やサービスを直接体験し、将来に向けた夢と希望を感じ、未来の大阪の持続的発展の担い手を育成することを目的に、府内の子どもの万博会場への無料招待を検討されております。本市におきましてもその趣旨に賛同し、市内の子ども達を無料招待すべく、大阪府と連携して取組みを進めてまいります。
 加えて、今後も大阪府や府内自治体と連携して、周知啓発及びイベント催事等への参画を検討してまいります。
 行政情報については、「職員みんなで知りたいに応え、伝えたいを届けきる。」を理念とする広報戦略のもと、広報誌や広報板などのオフライン、市ホームページや公式LINEをはじめとする各種SNSなどのオンライン、それぞれの媒体を通してお届けしているところです。
 近年、デジタル化の進展により、市民皆さまが情報を取得する際の手段も大きく変化してきていることから、6年度においては、オフライン媒体の1つである広報板のあり方を見直してまいります。
 また、オンライン媒体の1つであり、情報発信の中心的役割を担う市ホームページにおいても、閲覧に際しての改善を求めるご意見をいただいております。
 6年度には、多様化する情報発信の在り方を踏まえつつ、閲覧者の利便性向上に加え、訪問される皆さまがより分かりやすく情報にアクセスできるように、市ホームページの再構築を行ってまいります。

結びに

 以上、6年度における市政の運営方針と予算についてその概要を申し上げました。
 国全体としては人口減少が進み、予算や人員の拡大が見込めないなかでも、本市が今後も継続的に発展していくために必要なことは何か。
 それは、徹底した「市民中心のまちづくり」であると私は考えます。
 そして、どこよりも徹底した市民中心のまちづくりを実践するためには、「日本一前向きな市役所」をめざして、絶えず市役所の働き方を見直すとともに、私も含めた職員それぞれが、常に成長し続ける必要があります。
 前例踏襲や固定観念に囚われず、前に向かって挑戦しているか。
 施策を行政視点ではなく、市民に寄り添い考えられているか。
 課題に対し縦割りに陥らず、多様な力を合わせて解決できているか。
 5年4月に策定した人事戦略基本方針には、これら3つを職員のあるべき姿として、「挑戦」「共感」「連携」というキーワードを用いて示しています。
 無論、「日本一前向きな市役所」と呼ぶには未だ道半ばではありますが、今後も引き続き、職員一人ひとりが成長を実感し、いま以上に働きがいを感じられる市役所をめざすとともに、現在の市民が希望を持ち、将来の市民が誇りを持てる四條畷市の実現に向け、市民中心のまちづくりを力強く推し進めてまいります。
 結びに、市議会の皆さまとは、四條畷を良くしたいという思いを共有するなかで、執行機関と議決機関としての緊張感はしっかりと保ちながら、信頼関係をさらに強固にしていけるよう努めてまいりますので、引き続きのご理解とご協力を何卒よろしくお願い申し上げまして、令和6年度における市政運営方針といたします。​

令和6年度市政運営方針(PDF)

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