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令和5年度市政運営方針

 

令和5年度市政運営方針(全文)

 本2月定例議会において、令和5年度における市政の運営方針を申し上げる機会をいただき、深く感謝申し上げます。
 新しい畷へ。この決意を胸に歩みを始め、約6年。この間、延べ100を超える地域の皆さまとの対話を重ねながら、市民中心のまちづくりに邁進してまいりました。
 いただくお声を1つでも多く実現させたい。そのためにも、何としても財政健全化を成し遂げなければならない。時に、そうした思い­が強くなり過ぎ、自らの未熟さを露呈したこともありました。
 その際にいただいた議員各位や市民方々からの厳しくも温かいご指導を金言としながらも、さらなる行財政改革を進めた結果、3年度決算を北河内7市において人口あたりで比較すると、市債残高は2番めに少なく、基金積立額は2番めに多い状況、現在高に換算すれば、借金が平均より約40億円少なく、貯金は平均より10億円多いという状況にまで財政が改善しています。
 また、6年前の平成29年まで、連続して10年以上転出超過という厳しい人口動態が続いていたことから、行財政改革に注力しながらも、併行して市の魅力向上施策にも取り組んでまいりました。
 その結果、平成30年に転入超過となって以降、この5年間で3度の社会増を達成し、選ばれるまちへの兆しが見えつつあります。
 これらの状況を踏まえ、令和5年度の予算編成にあたり、市長としてある決断をいたしました。
 その決断とは、これまでの長く厳しい行財政改革に関係したすべての方々への敬意と感謝を胸に、成長による好循環を実現する市政運営へと大きく舵を切ることです。
 具体には、4年度中に策定する第2期総合戦略に掲げる5年度から9年度の5年間を、「未来への投資期間」と位置づけ、成長分野に集中的かつ大胆な投資を行い、四條畷市の魅力を飛躍的に向上させたいと考えております。
 いざ、新しい畷へ。四條畷は今後、北河内、ひいては大阪府を牽引するまちとして、市民の皆さんとともに、歩みを加速させてまいります。

 

重要施策

 

1 子育て支援の大胆な拡充

 四條畷市の将来を担うすべての子どもたちに、健やかな育ちの環境を提供したい。そうした思いで、これまでも子育て施策の充実に注力してまいりました。子育て世代に選ばれるまちになりつつある今こそ、これまで以上に思い切った子育て支援の拡充が重要です。
 そこで、5年度において、子育ての各段階における支援を一気に拡充させてまいります。
 まずは、子ども医療費助成制度の18歳までの拡充です。
 昨年9月定例議会において、対象年齢拡充に伴う条例改正及び準備行為に関する予算をご承認いただいたことから、新たに対象に加わる児童の申請受付を、2月1日から開始いたしました。3月中に新たな医療証をお届けし、4月から、所得制限なく対象年齢を18歳年度末までに拡充することで、安心して医療の受診ができる環境づくりを整えてまいります。
 次に、市立小中学校における学校給食費の無償化の制度化に取り組みます。
 4年度においては、国の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を活用し、市立小中学校に通う第2子以降の学校給食費について、5年1月から3月までの無償化を実施いたしました。
 5年度においては、物価高騰に係る一時的措置としての対応ではなく、子育て支援の充実という観点から、複数の就学児童生徒がいる世帯の負担軽減を図るべく、引き続き、第2子以降の学校給食費の無償化を、所得制限なく実施してまいります。
 加えて、保育料の無償化の拡充にも取り組みます。
 認可保育施設に通う保育料は、令和元年10月より開始した国の幼児教育・保育無償化制度により、3~5歳児は所得制限なく無償化されておりますが、0~2歳児は住民税非課税世帯を除き、所得に応じて支払っていただいている状況です。
 そのうち、就学前の第3子以降については多子軽減により無償となっておりますが、5年度においては、複数の就学前のお子さんを育てる家庭を応援するため、第2子の保育料の無償化を、こちらも所得制限なく実施してまいります。
 さらに、妊産婦への伴走型相談支援の充実にも取り組みます。
 これまでも、「こんにちは赤ちゃん訪問」による全戸訪問や「1/2バースデイ訪問」など、子育て世帯に寄り添う事業をネウボラなわてとして取り組んでまいりました。
 5年度はそれらに加え、妊娠8か月の希望者への面談を実施することで、出産への不安の解消のみならず、妊娠届出時から出産後まで一貫して様々な不安や悩みをお伺いし、子育て支援に関する必要な情報提供を行うとともに、支援が必要な世帯に対して、関係機関が連携しながら適切なサービスにつなぐ伴走型相談支援を充実してまいります。
 その際、妊娠届提出時に5万円、出生届提出時に5万円、合計10万円のギフト券などを支給する国の経済的支援を継続実施することで、出産育児関連用品の購入等の経済的負担の軽減につなげてまいります。
 こうした妊産婦、未就学児、就学児童生徒、さらには18歳までの支援を切れめなく充実することで、このまちで子どもを育てたい、このまちなら安心して子育てができると感じていただける四條畷をめざしてまいります。


 

2 事業者への大規模な支援 

 本市が地域経済の好循環を創出していくためには、事業の維持・拡大に向け、日々懸命な経営努力をされている中小企業や個人事業主の方々の事業活動を、積極的に後押しすることも重要です。
 そこで5年度から、四條畷市商工会との連携のもと、市独自の大規模な支援制度として「なわて事業者チャレンジ支援」制度を新たに創設いたします。
 本制度は、既存事業者と新規創業者それぞれに支援内容が分かれています。
 まず、既存事業者への支援ですが、事業計画に基づき導入された設備に対して、最大1,000万円の補助を行います。その際、省エネルギー対策や労働生産性を向上させる先端設備等の導入に加えて、働き方改革や女性の活躍推進などの職場環境の改善にも積極的に取り組む場合などにおいては、補助率を最大80%まで引き上げることで、事業者の設備投資が環境負荷の低減や労働者の福祉の向上などにも資する制度として構築しております。併せて、事業計画の策定や販路の拡大に係る経費への支援も制度に盛り込んでいます。
 また、新規創業者への支援については、相談機会の提供や創業セミナーなどの既存の取組みはもちろんのこと、新たに、店舗の改修費用などの起業時に必要となる初期費用に対して最大200万円まで支援を行ってまいります。併せて、展示会の出店やPR活動に要する経費、さらには事業計画の作成や法人設立に要する経費など、多面的に支援する内容となっています。
 これらの支援により、よりよい地域社会や生き生きと働くことができる地域基盤の構築に繋げるとともに、これまで起業への意欲がありながらも実現に至らなかった方の後押しをし、まちに新たな賑わいを生み出してまいります。

 

3 DXによる市民サービス向上と働き方改革 

 行政においても現在、デジタル・トランスフォーメーション、いわゆるDXによる変革が強く求められています。
 
 本市では、従来からICTを活用し、他自治体よりも先行した取組みを実施してまいりましたが、5年度においては、さらなる市民の利便性向上をめざし、国のデジタル田園都市国家構想交付金を最大限に活用することで、DXを強力に推進してまいります。
 まず1つめに、市民の皆さまにとってストレスのない、スマートな窓口を実現してまいります。
 具体には、転入届などの各種届出においてタブレット端末等を活用することで手書き不要となる「書かない」窓口、スマートフォン等で事前に申請・来庁予約いただくことで来庁時の手続時間を短縮させる「待たない」窓口、来庁いただいた際にどの窓口でどのような手続きをするのかを明示する「迷わない」窓口を、同時に導入することで、住民のみなさまの利便性を大幅に向上させることができます。
 こうした「書かない」・「待たない」・「迷わない」窓口の導入に向けては、デジタル庁が主導する「窓口DXSaaS」と呼ばれるサービス等の活用を検討してまいります。
 2つめに、市民や事業者の方々からいただく問合せへの対応品質を向上させ、スムーズな広聴を実現してまいります。
 具体には、各窓口に寄せられる問合せをデータベース化して管理することで、問合せの取次に伴う市民の待ち時間を短縮することに加え、蓄積した問合せ情報を活用することで、そもそも問合せをしなくても済むような広報体制をめざしてまいります。併せて、自動的に会話を行うシステム、いわゆるチャットボットを導入することで、問合せの方法を多様化するとともに、開庁時間以外での応対をも可能にしてまいります。
 3つめに、母子手帳アプリの機能を拡充してまいります。
 具体には、市がすでに実装している「なわてっこナビ」アプリを通じて、保護者が子どもの予防接種に係るスケジュール管理・予診票記入・接種記録をデジタル上で完結するようにすることで、子育て世帯の皆さまや一部の医療機関のさらなる利便性向上を図ってまいります。
 こうしたDXによる市民サービス向上を進めていく一方で、職員が真に傾注すべき業務に集中できるように、DXによる働き方改革を推進することも必要です。
 4年度からは、入札制度等改革として、とりわけ、業務の簡略化、省力化にかかる入札参加資格システムの導入など、契約業務の見直しを進めてきました。
 5年度には、効率的で迅速かつ公平公正な入札制度の実現に向けて電子入札システムの調査・研究を行うとともに、契約に関わる事業者の利便性や職員の業務効率化に向けた電子見積・契約サービスの実装を進めてまいります。

 

4 田原地域の活性化 

 科学技術の進展に伴い、それらの技術をまちづくりにも積極的に活用していく、いわゆるスマートシティの取組みも重要となっています。とりわけ田原地域では、これまでも地域課題の解消に向け、地域住民参画のもと様々なことに挑戦してまいりました。
 4年度には、高低差のある地域内移動の課題解消に向け、高精度3次元地図の技術を活用した自律型自動運転車の走行と、低速電気自動車を使ったデマンド交通の実証実験を、地域の皆さまとともに取り組んでまいりました。実証実験のアンケートでも、大変前向きなご意見をいただいたところです。
 こうした結果を踏まえ、5年度には、自律型自動運転車と低速電気自動車の本格導入を行い、地域が主体となった持続可能な運行体制の構築をめざしてまいります。
 交通課題の解消のみならず、田原地域をより便利で魅力ある地域にしていく取組みも重要です。
 田原台には、平成2年のまちびらきから未利用地のままとなっている公共空地等がありますが、これらの土地の有効活用策について、可能性調査を実施することで、未来のまちづくりに向けた議論を加速させてまいります。
 また、下田原におけるほ場整備事業においては、令和4年度に30回を超える地域との会合を開き、事業対象区域を定め営農計画や整備計画等の検討を行い、地域の合意形成が図られるよう支援してきたところです。
 これらを通じ、地域主体で新たに小麦の試験栽培が開始され、意欲ある農業者により農業を共同で営む法人が設立されるなど、魅力ある農業・農空間をはぐくみ、次世代に継承する取組みが進んでいます。
 引き続き、関係機関と連携し、5年度には事業化に必要となる関連法に基づく手続きや国との協議を行い、大阪府を実施主体とする6年度の事業着手を地域とともにめざしてまいります。同時に、担い手の体制強化や、より収益性の高い農業経営が図られるよう支援してまいります。

 

公共施設の整備 ​ 

 2年1月に策定した公共施設の個別施設計画において、計画策定以降も継続検討していくこととした市庁舎や市民総合センター、四條畷南中学校跡地など15施設について、約3年にわたり、様々な角度から再編整備の方向性を議論してまいりました。
 2年度、3年度には、公共施設再編検討会を設置し、市民視点での検討を、4年度には市議会に議決すべき計画に関する特別委員会を設置され、市政運営全般を俯瞰しつつ、中長期的な視点から、調査・研究を重ねてこられたところです。
 これらの検討過程を経て、本年2月に個別施設計画(令和5年4月改訂版)(原案)を取りまとめたところであり、今後は市民意見公募手続を通じ提出されるご意見を踏まえ、安全・安心かつ魅力ある公共施設の再編整備を進めてまいります。
 その際には、これまでの歴史的経緯を踏まえ、四條畷南中学校跡地に避難所機能を有する施設を最優先に整備することとしておりますが、その整備までの間、取り急ぎ既存校舎等において、一定の避難所機能を確保していくため、仮防災機能の整備を進めてまいります。
 一方で、自然豊かな都市環境整備の一歩めとして位置づけた、旧子育て総合支援センター・くすの木園跡地における公園整備においては、公園に求められるニーズの多様化に対応するため、4年度に3回のワークショップを開催し、地域住民の皆さまのご意見をいただきました。
 皆さまの共通する意見として、「多世代が利用できる公園」、「明るく安全に利用できる公園」、「親しみが持て自慢できる公園」があり、これらの意見を可能な限り取り入れるべく、現在は公園の実施設計に取り組んでいるところです。
 5年度において、周辺住民の方へ配慮しながら工事を丁寧に進め、6年度の開園をめざしてまいります。

 

予算編成方針

 5年度の予算は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和されるとの見通しのなか、歳入においては市税や各種交付金などの主要な歳入の増加を見込み、歳出においては本市の成長に資する取組みを積極的に実施していく予算編成といたしました。
 なお、2年度から4年度まで3年連続して財政調整基金に頼らない予算編成としておりましたが、介護保険事業の単独実施に向けた準備行為に係る経費については、一時的な要因の予算であることから、一般会計から介護保険特別会計に対する繰出金の範囲内において、財政調整基金からの繰入金を計上することといたしました。
 各会計の予算額といたしましては、一般会計で232億5,319万7千円と過去最大の規模となり、 国民健康保険特別会計で58億1,048万9千円、介護保険特別会計で1億3,344万1千円、後期高齢者医療特別会計で9億9,850万5千円、土地取得特別会計で4,516万6千円、下水道事業会計で33億9,879万8千円、各会計の総額では、336億3,959万6千円となっております。 

 

主要施策

 次に、5年度予算における主要な施策を分野ごとに申し上げます。

分野1 誰もが安心して暮らせるまちへ

 人と人とのつながりが希薄化しているなか、すべての人が慣れ親しんだ地域で安心して暮らし続けていくためには、地域共生社会の構築が不可欠です。

 そうしたなか本市では、平成30年10月に、「地域生活困窮丸ごと支援会議」を設置し、住民が抱える複合的な課題を横断的につなぎ、解決に向けた取組みを推進してまいりました。
 令和5年度には、高齢、障がい、子どもの各分野を包括的に見通し、本市の今後の福祉政策の方向性と基本施策を示す第5期四條畷市地域福祉計画、通称「なわてみんなの福祉プラン」の策定を行うとともに、丸ごと支援会議を基軸とした重層的支援体制整備事業の検討も進め、さらなる地域共生社会の構築に向けた取組みを着実に推進してまいります。

 高齢福祉については、現役世代の急減や介護ニーズの急増が見込まれる2040年問題をひかえ、高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を営むに際し、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れめなく提供する「地域包括ケアシステム」を進展させていくことが急務となっています。
 このような状況から、6年度以降の介護保険事業の単独実施に向け、本市の特性に見合う第9期高齢者福祉計画及び介護保険事業計画の策定など、その準備に万全を期してまいります。

 介護保険事業と併せて重要となるのが、健康寿命の延伸です。

 健康寿命延伸基本方針に掲げる、フレイル予防と運動習慣の継続について、地域の特性に応じた介護予防と保健事業の一体的実施の仕組みづくりや居場所などの社会資源の創出に向けて、引き続き取組みを進めてまいります。

 健康寿命の延伸においては、がん検診や特定健診の受診率の向上も重要となります。
 これまでは、郵送や電話による受診勧奨、再勧奨に取り組んでまいりましたが、5年度には、これまでの取組みに加えて、携帯電話のショートメールサービスを利用した勧奨・再勧奨を実施し、対象者の特性に対応したメッセージをダイレクトに対象者に送信することで、特に若年層における受診率の一層の向上を図ってまいります。

 障がい福祉については、障がいのある人が住み慣れた地域で自分らしく自立した生活を営むことができるように、当事者へはアンケート調査を、各関係機関や団体にはグループインタビュー等によりご意見をいただき、第7期四條畷市障がい福祉計画・第3期四條畷市障がい児福祉計画を策定してまいります。

 国民健康保険については、これまでの間、財政安定化基金をもって、被保険者への保険料負担の軽減に努めてまいりました。
 5年度は、その激変緩和措置期間が最終年となることから、6年度に迎える大阪府内の料金統一化を見据えた移行を図りつつも、同基金から1.6億円を活用し、被保険者の保険料負担軽減を図ってまいります。

 安全・安心な暮らしの実現には、適切なインフラの維持管理も不可欠です。
 とりわけ、下水道は市民生活を支えるライフラインの一つであり、元年度に策定した「四條畷市下水道ストックマネジメント計画」により、適切な下水道施設の維持管理を進めてきました。
 今後も「予防保全」の観点に立ち、6年度を起点とする計画の改定を行うことで、さらに計画的な改築、維持管理を進めることにより、安心してお使いいただけるよう努めてまいります。

 加えて、近年、豪雨災害が相次ぎ、市街地での氾濫リスクは高まっており、市民生活の安全・安心を確保するための雨水整備計画の見直しが急務となっています。このため、5年度は雨水整備において特に重点となる区域について、現状把握を行うための現地調査や排水能力の再精査などを実施のうえ、計画の見直しを進めてまいります。

 下水道事業経営戦略は平成29年度に策定し、令和元年度にも20年を計画期間として改定を行いましたが、今般、社会情勢等の変化やストックマネジメント計画に基づく効果的な投資計画などを踏まえた計画への改定が必要となっています。
 人口減少に伴う使用料収入の減少や施設の老朽化による維持管理費用などの増大を的確に見込んだ収支計画などをもとに改定を進め、将来にわたっても健全かつ安定的に事業を継続してまいります。

 多くの緑に恵まれた本市は、とりわけ森林の面積が約734ヘクタールあり、市域の約4割を占めています。これらは、広く市民の自然レクリエーションの場として活用されているほか、山地災害の防止など重要な役割を果たしております。
 5年度には、平成29年度に大阪府からの情報をもとに整備した林地台帳について、伐採や造林の指導監督及び災害復旧事業などにおいて円滑に対応できるよう、最新の情報に更新してまいります。

 清滝ごみ焼却施設の跡地については、市民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的に、災害時の航空輸送体制に繋がる災害時用臨時ヘリポートとして地域防災計画に位置づけるべく、令和5年度より施設の解体工事等に着手し、7年度の完成に向け整備してまいります。 

 

分野2 今よりもっと暮らしやすいまちへ

 長年にわたり取り組んできている一般国道旧170号の拡幅については、3年度より土地の境界を確定させるための測量作業を開始し、4年度には、対象となる物件の補償を行うための調査を進めてまいりました。
 5年度においては、いよいよ地権者及び沿道住民との交渉が始まります。引き続き、大阪府との連携はもとより、地権者及び沿道住民のご協力をいただきながら、丁寧に事業を進めてまいります。

 市道逢阪生駒口線は、国道163号と主要地方道大阪生駒線を結ぶ地域緊急交通路であり、本市の主要な道路であることから、これまでも舗装補修を繰り返し行ってまいりました。
 しかしながら、舗装の劣化による事故がここ数年に連続して発生していたことを踏まえ、道路利用者の安全性の向上、緊急交通路としての機能を確保するため、4年度から道路改良に取り組んでおり、5年度においても着実に取組みを進めてまいります。

 公共施設再編に伴い新たな公園整備を進める一方で、既存の公園における老朽化への対応も必要となってきております。
 2年度に、公園施設における遊具や施設等の安全点検を実施いたしましたが、それらの結果を踏まえ、4年度中に、計画的な更新・修繕に向けた優先順位の考え方を公園施設整備指針として取りまとめる予定としております。
 5年度においては、当該指針に基づき、最も遊具の劣化が進んでいる田原台1号公園について、地域住民の意見も取り入れながら修繕を行ってまいります。

 田原地域と西部地域を結ぶ公共交通機関として、なくてはならない存在であるコミュニティバス。これまでは、受益者負担の観点から、利用者からの運賃収入と市による負担額をおよそ1:1として運行経費をまかなってまいりました。
 しかしながら、近年の運転手不足や燃料費の高騰などにより運行経費が上昇し、3年度決算では市による負担割合が7割を超えている状況です。
 コミュニティバスを今後も持続可能な公共交通としていくためにも、5年度において、適正な受益者負担の観点による料金改定を含めた検討を進めてまいります。

 デマンドタクシーについては、2年度からの実証運行により把握できた利用者の属性をもとに、福祉の観点も含めた新たな交通体系について検討を進めているところです。
 しかしながら、交通事業は、許認可による制約のみならず、民間事業者との共存など考慮すべき要素が多数にわたることから、本市にとって最適な選択ができるよう引き続き慎重な検討を重ね、5年度の下半期を目途に、新たな交通体系へと移行してまいります。

 暮らしやすいまちに向けて、行政手続きの利便性向上も進めてまいります。

 市民や事業者の負担軽減と利便性の向上を図るとともに、行政事務の効率化を図るため、これまで申請書や届出書など手続きに必要な書類への押印の見直しを行い、4年度には678件の押印廃止に至ったところです。併せて、行政手続きのオンライン化にかかる四條畷市行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例を制定いたしました。
 引き続き、手続きに必要な書類への押印の見直し等を行い、オンライン申請等をはじめとした行政手続きのデジタル化を推進してまいります。

 また、仕事等、様々な事情で窓口に来ることが困難な方への対応や、市民の利便性向上のため、市民の視点に立って、行政手続きのオンライン化を進める一環として、大阪府と連携のもと、パスポート申請の電子化を実施してまいります。

 各種証明書のコンビニ交付については、現在、マイナンバーカードを使えば、住民票の写しと印鑑登録証明書においては全国のコンビニエンスストアで取得していただくことができますが、さらなる利便性の向上を図るため、5年度にはこの対象に住民税決定証明書を追加してまいります。

 市民の利便性を高めるだけでなく、より質の高い市民サービスを提供するためのデジタル技術の活用もさらに進めてまいります。
 5年度には、相談支援業務システムを導入し、ガイダンス機能を活用した相談業務の質の向上と標準化を進めるとともに、相談記録作成等における職員の事務負担の軽減により、職員が相談対応に注力できる環境を整備し、丁寧で寄り添った相談支援の充実を図ります。

分野3 子育て・教育のまちへ

 厳しい保育士不足のなか、保育士給与に多大な影響を及ぼしている、子ども・子育て支援新制度の公定価格における地域区分。その見直しについては、これまで国に度重なる要望を行っているものの、いまだ実現に至っていない状況にあります。
 そうしたなか、3年度からは、市独自支援策として、奨学金の返済支援、宿舎借り上げ支援の上乗せ補助、産休や年休の取得支援を実施してまいりました。
 5年度からは、さらなる支援として、保育士の離職防止と長年にわたる本市の保育行政へのご貢献に対する感謝を趣旨に、10年以上勤務する常勤保育士に対して市独自で月1万円を支給することで、保育士の処遇改善に繋げてまいります。

 園児の安全対策についても強化してまいります。
 保育施設における乳幼児のお昼寝では、睡眠中の事故防止のため、保育士が5分から10分間隔で目視と触診により見守りを行っていますが、さらなる安全強化のため、園児の体動や体の向きなどを検知するセンサー等を公立園で導入するとともに、民間園に対しては必要な経費を補助してまいります。
 また、送迎用バスを運行している民間園に対しては、さらなる安全確保に向け、置き去り防止のためのブザーの設置等に必要な経費を補助してまいります。

 子育て世帯の不安に寄り添う事業も拡充してまいります。

 妊娠出産期の支援として、元年度から産前産後ヘルパー派遣事業を実施し、妊産婦の負担軽減に努めてまいりました。

 さらに、5年度からは、妊産婦に限らず、周囲に助けがなく、家事育児等に不安や負担を抱える子育て世帯も対象とした、子育て世帯訪問支援事業を実施し、子育て支援のさらなる充実に努めます。

 ひとり親家庭が抱えるさまざまな課題を解決するための取組みとして、5年度から新たに、ひとり親家庭生活支援事業を実施いたします。
 ひとり親の父または母などが支援や給付を受ける際の行政手続きなどを円滑に進めることが困難な場合に、同行して手続きなどを支援し、ひとり親家庭等の安定した生活につなげてまいります。

 小中学校では新学習指導要領の実施、GIGAスクール構想の実現、12年ぶりの生徒指導提要の改定、感染予防対策を行いながらの学校生活など、子どもたちはもちろん、指導する教職員の環境は近年大きく、かつ急激に変化しています。
 また、学校に行きづらいなど、ケアを必要とする子どもが増加傾向にあるなか、研修の在り方を抜本的に見直すなど、子どもたちの思いや悩みに寄り添える教職員の指導力、授業力の向上につなげるべく、5年度から、教育支援センターの機能を一層強化してまいります。

 計画的な水泳学習の実施、インストラクターによる専門的な指導、加えて教職員の負担軽減等を目的に、4年度から水泳授業の民間委託の試行実施を開始いたしました。
 子どもたちの充実した表情と、児童、保護者、教職員を対象に行ったアンケートでは多くの高評価をいただいていることから、5年度は見えてきた課題にも対応しながら、中規模校を1校加え、3小学校での試行実施を継続し、子どもたちの泳力向上につなげてまいります。
 4年11月に、安定した給食の提供を行うため、老朽化を迎える厨房機器等の更新を行う学校給食センター施設・設備等修繕計画を策定しました。
 計画の初年度となる5年度には、コンベアオーブン及び食缶処理機の更新工事並びに洗浄室照明改修工事等を行い、今後、5年程度をかけて計画的に更新し、児童生徒の皆さまに安全・安心な給食の提供を継続してまいります。

 学校図書館は、教育課程の展開と児童生徒の健全な教養の育成に欠くことができない施設であり、これまで継続的な蔵書整備と学校図書館支援員の配置により、魅力ある図書館づくりに努めてきました。
 5年度には、四條畷市サポート寄附金を活用のうえ、学校図書費を増額し、蔵書数を充実することで学校図書館としての機能、役割の向上を図ります。

 また図書館では、従前からブックスタートをはじめ乳幼児と本を結ぶイベントを開催しておりますが、保護者が子どものための本選びや自身の読書の時間を確保することも重要と考え、5年度から乳幼児向けイベント付き託児サービスを新たに実施してまいります。

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分野4 魅力と活気に満ちたまちへ

 市民により昭和50年に制定された四條畷市民憲章は、市民のしあわせとよりよい四條畷をめざす共通の道しるべです。
 これまでも、市民が一体となってこれを盛り立てていくため、様々な機会を通じて市も普及・啓発事業に取り組んでまいりましたが、令和4年度における市民意識調査の結果では、「知らない」の回答が65.7%という結果でした。
 よって、さらなる普及・啓発に努めるべく、令和5年度は、一人ひとりが自主的かつ具体的に実践行動に結び付けるための行動例の作成などを実施してまいります。

 文化芸術に触れ、心豊かなひと時を過ごすことは市民生活に欠かせない要素です。
 日頃の文化活動を発表し、また鑑賞する機会でもある市民文化祭については、より多くの市民のみなさまにご参加いただけるよう、開催日数をはじめ、展示出品数や舞台出演枠の拡充により、市民文化祭全体の活性化を図ってまいります。

 国史跡飯盛城跡につきましては、今後、魅力発信に繋げるため、飯盛城跡の現状と課題を整理し、その保存・活用を進める指針となる「史跡飯盛城跡保存活用計画」を大東市とともに、5年度末に文化庁の認定を受けるべく策定を進めてまいります。
 また、飯盛城跡についての認識を深めていただくために「飯盛城跡入門連続講座」を大東市とともに開催いたします。

 このような歴史的遺産などの地域資源を活用した施策の一環として、新たにボランティアガイド制度を創設し、市民やボランティア団体と協働でのハイキング事業などを実施し、協働のまちづくりにおいても進めてまいります。
 5年度においては、ボランティア団体などが、より活発に活動できるよう、市内団体に対してニーズ調査を実施し、よりよいまちづくりに繋げてまいります。

 ドイツ・メアブッシュ市との国際友好都市交流につきましては、コロナの影響により提携10周年の記念事業を行うことが叶いませんでしたが、従来から実施している子ども絵画交流事業等は継続的に実施し、若年世代における異文化への理解の促進と、今後の友好都市交流を推進するための基盤整備に繋げてまいりました。
 5年度には、新たに着任されたメアブッシュ市長が初めて来市されることから、両市のさらなる発展につながるよう友好親善を推進してまいります。

 人材の流動化が進むなか、国は積極的に「人への投資」を推進しており、住民に身近な自治体がその役割の一端を担うことができれば、社会的な要請に応えつつ、市民ニーズを満たす魅力向上に繋がります。
 やる気のある人が職業能力の向上に取り組む、大人の学び直しを推進し、より豊かな暮らしの実現へと繋げていくために、どのような施策展開を図ることができるのか検討を進めるとともに、5年度には普及啓発に向けたセミナーを開催してまいります。

 パソコンの基本的な操作方法等を学ぶ場として実施してきましたパソコン基礎講習会につきましては、これまで市民活動センターで開催しておりましたが、5年度からは市民総合センターに開催場所を移し、市民方々がより参加しやすい環境で、デジタルデバイドの解消にむけての取組みを進めてまいります。

 情報技術の進歩に加えて人々の生活習慣も変化し多様化するなか、幅広い住民ニーズに対してより効果的な広報が求められています。
 こうしたなか、4年度に市広報誌を全面リニューアルしたところ、広報誌アンケート結果において、「読みやすくなった」との評価を53.1%の方からいただきました。
 今後も引き続き、新たに策定予定の広報戦略に基づいて、様々な媒体を駆使した、より質の高い広報に取り組むことで、市民の暮らしをより豊かに、また、市外の人へ四條畷の魅力を効果的に伝えてまいります。

 とりわけ、市民の皆さまへ本市の様々な行政情報や新たな魅力を伝える基幹的役割を担ってきた本市ホームページについては、社会の変化とともに発信方法も求められる情報も常に移り変わります。
 ホームページの閲覧に対しては市民の皆さまから改善を要望するご意見をいただいていることから、より新しい情報、より見やすいホームページをめざして、改善を進めてまいります。

 年を追うごとに関心が高まりつつある「ふるさと納税」制度。本市においては、「さとふる」や「ふるさとチョイス」と連携して寄附金を受け入れてまいりました。
 これに加えて、5年度より「楽天ふるさと納税」と連携をスタートして、より一層の受入れ環境の充実を図るとともに、お礼品等の積極的な紹介を通して、寄附金の受入れの充実を図ります。

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結びに

 以上、5年度における市政の運営方針と予算についてその概要を申し上げました。

 3年にわたる見えない脅威との戦いも、まもなく大きな区切りを迎えようとしています。

 日本政府は先月末に、新型コロナウイルス感染症を現在の2類相当から 季節性インフルエンザと同じ 5類へ、本年5月8日より移行する方針を決定されました。

 本市として、これまでの間、至らぬ点もあったかと思いますが、時折いただく温かいお言葉に、職員ともども励まされながら今日に至ることができました。
 改めて、多大なるご協力をいただきました医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆さま、事業者の皆さま、そして市民の皆さまには、心からの感謝を申し上げます。
 また、コロナ禍における行政運営に対し、深いご理解をいただきました議員の皆さまにも、この場をお借りして厚くお礼を申し上げます。

 無論、未だ予断を許さない状況であることは言うまでもなく、引き続き、感染症の状況を見定めながら職員一丸となって市政運営にあたってまいる所存ではありますが、社会全体としては、徐々に規制が緩和され、様々な活動が活発になっていくことは間違いありません。
 そうしたなか、四條畷市としても、5年度は未来に向かって大きく歩みを進める、投資を主眼に据えた過去最大規模の当初予算となりました。

 今後は、4年度に 財政運営に関する基本的な指針として策定した中期財政計画に基づき、財政規律と健全性をしっかりと堅持しながらも、先人方々から受け継いできたこの四條畷市をさらに発展させるべく、 第 2期総合戦略に掲げる「みんなで未来を育むまち四條畷」の理念のもと、市政運営を力強く進めてまいります。

 結びに、市議会の皆さまとは、四條畷を良くしたいという思いを共有するなかで、執行機関と議決機関としての緊張感はしっかりと保ちながら、信頼関係をさらに強固にしていけるよう努めてまいりますので、引き続きのご理解とご協力を何卒よろしくお願い申し上げして、令和5年度における市政運営方針といたします。

 

令和5年度市政運営方針(PDF)

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